<堕ちていく母(1)>
母は、何日も悪夢に悩まされました。 夢であってほしい、そう何度も願いました。
しかし気持ちはそうであっても、性の歓びを知り尽くしている体に、
刻み込まれた感覚は、紛れもなく現実の出来事であったことを、思い出させてしまうのです。
暴力と脅しによって犯されたのですから、これはあきらかに強姦です。
たとえ、有り余る精力からくる固さと太さ、さらに卓越したテクニックであっても、
無理矢理犯されたのですから、本来感じるはずがないのです。
しかし、性の歓びに精通した女体のせいか、野獣に組み敷かれて、
4度もの絶頂を迎えてしまったことは、母にとっては耐え難い汚点だったのです。
しかも夫以外の男の精液を、2度も注ぎ込まれ、それを母の子宮が、貪欲に吸い上げていったのです。
まるでこの男の子供を、宿したいと欲しているかのように・・・。
それが女の体として、自然の摂理であったとしても、
母にとっては自分の意志で汚らわしい精液を飲み込んだと同じことでした。
もし、あの男の子供を妊娠したなら、その時は・・・・・。
母は、悲痛な覚悟を決めました。
あの日、僕がデートから帰ってきて見た母は、両肩を落とし、いつになく元気がありませんでした。
心配して声をかけましたが、ただ疲れただけだと言って、寝室に消えていきました。
僕は母のそんな姿を気にしながらも、彼女からの電話に心は奪われ、
そんなことも忘れ去ってしまったのです。
あの時、僕が母の異変に気付き、母を守ってやることが出来ていれば、
このようなことにはならなかったはずです。しかし母にしてみれば、
息子の友人に辱めを受けたことを、我が子に知られることは、耐えられないことです。
こんなことを僕が知れば、きっと僕の心は引き裂かれてしまうだろう。
そんなことだけは、母として絶対に許せないことです。
たとえ自分がどうなろうと、僕だけには、傷を付けてはならないのです。
息子の友人によって、消し去ることが出来ないほどの強烈な官能の感覚を植え付けられてしまったことを、
母の熟れた女体が痛感していても、我が子を思いやる母親としての愛情と理性は、
それを辛うじて押さえ込んでいました。あの時限りのことなのだから、私さえ我慢すればいい、
そう思い込み、ひたすら時間が解決してくれることを信じながら、
堪え忍ぶことしか、母のとる道はなかったのです。
そんな母の痛切な願いも、若者から完全な獣へと変貌を遂げた者は、
無惨に踏み躙ったのです。 獣は、あの時の刻印が消える前に、まだ心の動揺が治る前に、
さらに大きな打撃を与える決意をしていました。 辛うじて平静を保っている母にあの時受けた屈辱を、
さらに上回るほどの辱めを与えるなどとは、とんでもないことです。
そんなことをすれば、母は大変なことになってしまうのです。
おそらく獣にとっては、そのことこそ究極の目的だったに違いありません。
あいつには、人間としての血が、流れていないのでしょうか。
男は友人であることを利用して、密かに僕の行動を観察し、
次のデートで帰りが遅くなる日を知ってしまいました。
そして一度狙った獲物の、今度は心臓までも貫くために、牙を研いでその日を待ったのです。
そんなことが起きているとは、露ほども知らぬ僕は彼女と約束した日に母に遅くなることを告げて
家を後にしたのです。 その時母は、僕に何かを言いたい素振りでした。
未だ悪夢の消え去らぬ母は、何かが起きることを予感していたのです。
デートの待ち合わせ時間だけに、気を取られていた僕はそんな母の瞳の奥に宿された不安に
気付くことができませんでした。あの時僕が、母の側に付いていてやれば、
今まで通りの平和な生活が送れていたはずなのです。
夕方近くになって、母は自分の予感が正しかったことを、思い知らされました。
片づけ物をするため、何気なく開けた玄関に現れた男を見て、母は凍り付いてしまいました。
そしてその男の目の中に、以前の若者の輝きのかわりに、野獣の恐ろしさを見た母は、
自分に課せられた過酷な運命を知り、戦慄に体を震わせました。
野獣の決意を秘めた男に見つめられた母は、まるで蛇に睨まれた蛙の様に、
脂汗をかきながら、立ちつくしていました。 そんな状態の母の手を取ると、
男は玄関の中に押し込み、鍵を下ろしてしまいました。 なんの抵抗もできず、
我が家への侵入を許した母は、男に手を握られたまま、今から起こること、
そして母の将来を、宣告する言葉を聞いたのです
「陽子、来たよ。 今日はあいつ、デートで遅くなるんだろう?
だから2人で、朝まで楽しもうなぁ・・・・・」
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