その8
戸田秋男はグラスに残ったウイスキーを一気に胃に流し込んだ。
妻が病で先立ってしまってから早いものでもう10年も経つのか。。
この10年間私と麻衣子はまさに2人三脚でやってきた。
麻衣子はよく勉強し、家事をこなし、おまけに妻に似て容姿端麗に育ってくれた。
麻衣子ちゃん美人ですね。と褒められるたびに鼻高々だった。
大切な娘だ。だから、麻衣子にふしだらな感情を抱いて近寄ってくる男どもは全て排除してきた。
そんな私を見て、麻衣子は呆れた表情をしながらもいつもこう言ってくれた。
「お父さん。大丈夫だよ。あたし、誰のものにもならないから。」
麻衣子が初めてそのセリフを口にしたのは中学3年生の時だった。
今思えば、ずいぶんマセた発言だが、心底嬉しかった。
麻衣子は俺の麻衣子だ。
「麻衣子を抱けか。。ふっ。。本当に麻衣子を俺のモノにしちまうか?
ははは。くだらん。出来るか。そんな事。」
私はふらつく足で、氷を取りにキッチンに向かった。
「なんだ。。もう氷ないのか。。」
その時、普段は気にも留めないバスルームのシャワーの音が妙に気になった。
私はその音に誘われるようにバスルームに向かった。
脱衣所で麻衣子の脱いだ下着を見つけると私はパンティーを掴んだ。
「麻衣子もこんな大人の下着をつけるようになったのか。」
オンナとして麻衣子を見た事がない私にはそれすら不思議な気がした。
私が昔買い与えていた下着はもっと布の面積が大きいアニメのキャラクターが入ったものだったはずなのに。。
下着をみつめているうちに娘の麻衣子とこの下着を着けている麻衣子が別の人間のように思えてくる。
「誰もが羨む容姿端麗な女子大生の下着か。。」
私は麻衣子のパンティーを口元に近づけると顔に押し当て匂いを嗅いだ。
私のモノは私の期待をいともあっさり裏切り、理性も世間体も罪悪感も闇に葬り去り、本能のままに激しく勃起した。
今まで抑えていただけだったのだ。本当は自分でも分かっていた。
良い父親のフリをして、本当は麻衣子に対する独占欲が常に心の中を渦巻いていた。
沢田に麻衣子を抱けと言われた時、そんな私の心の闇を見透かされたような気がした。
私は娘をオンナとして見るような鬼畜ではない。普通の父親なんだ。
沢田にそう弁明するのに必死だった。
やめてくれ。心の底の奥の方に沈めている感情を引き出さないでくれ。そう願った。
だが、沢田は私のパンドラの箱を見つけるといともたやすく開けてしまった。
一度開いた蓋を閉める理性が私には足りなかった。
麻衣子を永遠に自分だけのモノにできる。
会社も守られる。
やらなければ、すべてがお終いだ。迷う理由がないように思えてくる。
私は麻衣子のパンティーを元に戻すとリビングに戻り、電話を掛けた。
私は酔っている。分かっている。今決めた事など、シラフに戻ったら気持ちはあっさり覆る。
だから、今電話を掛けるしかない。気持ちが変わる前に退路を断つしかない。
「もしもし。夜分に失礼致します。戸田です。先ほどは大変失礼をいたしました。
あっあの。。その。。先ほどのお話しについて改めてお時間をいただけませんでしょうか?
その。。前向きにと申しますか。。やらせていただけないかと。。はい。
ありがとうございます。はい。失礼致します。。」
電話を切ると私はすっかりシラフに戻っていた。
自分の娘を抱くのに、なぜ沢田の許可がいるのか。ぜひやらせて頂きたいだと。
私の娘だ。私の麻衣子だ。沢田など関係ない。私が抱きたいから抱くのだ。
沢田に対する怒りとは裏腹に私の股間はメスを求めて激しく猛っていた。
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