その12
「佐々木~。。お前授業始ってんぞ。何サボってんだー?」
慌てて上半身を起こすと、そこには美術の教師でウチのクラスの副担任をしている。剣崎誠が立っていた。
「なんだ。。まこっちゃんか。。脅かさないでよ。先生かと思った。」
「こらこら!俺も先生だ!そしてまこっちゃんはやめろ。」
どうやら、オナニーをした後寝入ってしまったようだ。どれくらいの時間寝ていたんだろう。
まこっちゃんはいつからいたんだろう。途端にノーパンでいる事や、ついさっきまでSEXをしてタバコをふかしていた事を
思い出し、冷や汗が出てきた。
「佐々木~。お前は普段、成績優秀な模範生徒なのにたまに大胆なサボり方をするよな。
まったくマセてるというか、大人をナメてるというか。」
「ごめんごめん。すぐ戻るよ。」
私は立ち上がり教室に戻ろうとした。
「待て待て。お前そんなタバコ臭いまま戻ったら一発で停学だ。
もう5時限目はいい。どうせもう20分もないしな。」
「あれ?バレてた?」
「バレバレだ。そこの吸い殻はちゃんとバレないように処分しろよ。」
そう言われ床に目を向けるとそこにはタバコの吸い殻と俊介のザーメン、私が吐きだした、タイジのザーメンがあった。
「なあ。佐々木。お前タイジと付き合ってるのか?」
「何よ急に。それ教師がする質問?」
「いや。タイジもお前も学校トップクラスの成績だし、美男美女のナイスカップルって評判は聞いてるんだがな。」
「だが。何よ。」
「だが、タイジは良くない噂も聞くもんでな。それでお前にも悪影響があるんじゃないのかと心配でな。」
私は吹き出しそうになって何とか堪えた。
この大学出たての童顔教師は思考回路も幼稚だと思った。
事はそんなに単純ではない。私とタイジは高校に入学して、すぐに付き合うようになった。
タイジは私に一目ぼれをしている事は明白だった。
様子を伺っていると、タイジはあっという間に学年トップの成績を叩き出し、ルックスも整っていた事もあり、
すぐに学年の人気者になり、リーダー的存在になった。
私は高校3年間を円滑に過ごすためにタイジの彼女のポジションにつく事を選択した。
私はSEX依存。タイジは変態的なドSだった。私達は互いに利用し合っているだけ。
愛情も何もない。少なくとも私にはタイジに対する愛情は無い。私が必要なのはタイジの
彼女という地位とタイジのチンポだけだ。
「まこっちゃんは優しいね。私の事心配してくれて。」
私は弱弱しく上目使いにガキんちょ教師を見つめた。オンナのこの表情がオトコ共は大好物なのだ。
「い、いや。一応お前の副担だからな。。」
「ねえ。まこっちゃん。今度の週末デートしようよ。」
「ば!ばか言うな!生徒と不純異性交遊などできるか!」
「何慌てちゃってんのよ。私建築家になりたいって話した事あったでしょ?
まこっちゃん建築もかじってるって言ってたじゃん。だから、本屋さんに一緒に行って
洋書とか選んで欲しいんだ。高校生でも分かりやすいやつ。」
「あー。そ、そういう事なら、まあ。。」
私は心の中だけで笑いを堪えた。何が、そういう事なら、まあ。。だ。
頭の中は私との不純異性交遊でいっぱいのくせに。
「それじゃ、何件か周りたいから車で来てね。」
「俺、車なんか持ってないぞ?」
「レンタカーしてよ。お願い!制服より短いスカート穿いて行ってあげるからさ。」
「ば、ばか!大人をからかうんじゃない!まあ、いい。
じゃあ、車で広島駅に行くから待ってなさい。」
「ミニスカートで待ってなさい。でしょ?」
私がイタズラに笑うとこの教師はもう己の本性を隠す事も諦め
いやらしく私のカラダを一瞥すると、「じゃあ週末広島駅で。」
と言い去っていった。
剣崎が去るともう一度独りぼっちの屋上で仰向けになり目をつむり、
いつものように、楽しいキャンパスライフを送る大学生の自分、建築家になって
バリバリ働くキャリアウーマンの自分を夢想して広島の青空のはるか先にある未来に想いを馳せた。
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