43.なぜ私が借金の形に?
私は、オタク様のプレイだと職員氏に説明しましたが、余り聞いていない様子で、
私にユウジを連れて部屋に戻るように言うと、私たちを締め出しました。
その晩、ユウジは私と一言も口をきかず、無言のままでした。
翌朝、宿に昨日とは別の車が出迎えに来ていました。
乗っていたのは。かの国の男二人で、職員氏と手短に話しています。
何だか非常に殺気立った表情で私とユウジを見ています。
オタク様(私を未練たっぷりに見ています)と職員氏は、男たちと車に乗り込むと、
後部ドアを閉めてしまい、ユウジだけが助手席に座りました。
車窓を開けた職員氏が、昨日のままの暗い瞳で、
「あなた、着いて来なくて、結構です。」と一言いい、
そのまま車を発進させてしまいました。
取り残された私には、チラッと見えたユウジの腫れた顔が、
何だか私を心配していそうな表情に思えました。
唖然として見送る私の背後から、私に声を掛けたのは、
コーディネーターの顔面ホチキスとアメ車運転手のツッパリでした。
別れ際のユウジの表情から、緊急事態であろう事は容易に伺えたので、
私は毅然とした態度で居なくては!と思いました。
しかし、ホチキスとツッパリは、私の態度など全く気にせず、
一方的に、これからの私の扱いについて残忍そうな笑いを浮かべて宣告しました。
事の経緯は、昨夜の帰り道にイカサマに気付いた職員氏が、
体術でユウジを叩きのめし、結託した事を聞き出した後、
東京から応援を呼んだのでした。
そして今朝早く、ホチキスたちと談判に及び、イカサマ行為はユウジだけが責を負い、
職員氏の負け分は負けとして、その借金の形として、
私の身柄を預かる事で手打ちしたと言うのです。
なぜ私が知らない借金の形に?(結果的に職員氏とホチキスに填められたのですが。)
私には一瞬、何の事か理解出来ず、頭の中は真っ白です。
「パチン!」ツッパリが私の頬を叩きました。
私は呆然としたまま、荷物ごとアメ車に押し込まれ、温泉街の奥へと連れ去られました。
車内で因果を含められた形になった私は、あのママのスナックに預けられる事になり、
その晩から、かの国の客専門のピンクコンパニオンをさせられる事になりました。
わざわざ遠路、日本人を抱きに来て、同国人を宛がわれた客の鬱憤晴らしを、
私が身をもってさせられることになったのです。
解せぬ。理不尽。何度思っても、身の回りの物の全てを取り上げられた私に、
抗う術はありませんでした。
丈の短い、安手のピンクの浴衣姿で、お座敷に引き出された私を待っていたのは、
見るからに不潔なケダモノたちの群れでした。
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