36.夢の中で
そこは私の治める王国。
そこでの私は、多くの家臣に傅かれている女王様。
優しく道を標してくれる側近の大臣は、ご主人さま。
強く勇ましく頼もしい衛兵、はユウジ。
夢の中で、私は大逆人を裁こうとしています。
罪状を読み上げる判事は、鬼友。
大斧を杖にして立つ首切り役人は、先生。
そして、抵抗しながら獄卒の秘書に曳き立てられて来たのは、私の夫になるべき男。
憎んでも憎みきれない、私を地獄の苦しみに落とした男です。
私への愛を訴え命乞いする男に、私は、冷たい能面のような顔のまま、男に絶望を与えます。
「首を刎ねよ。」
先生の手にした大斧が宙を切ります。鈍い音と、血の噴き出る音が広間に響き、血の池が出来ました。
男の首が銀の大盆に盛られて、ユウジによって、私の前に恭しく捧げられます。
その、血の滴る生首を、うっとりと眺めている私。
シュトゥックの描いたサロメのように。
エクスタシーに襲われる私。
ここで、目が覚めました。
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