晴樹は車を運転しながら思考していた
今回の出張のスケジュール、妻である裕子、そして出張の時だけの密かな楽しみ
二泊三日か
長くないが、短くもない
内容も定例的な意味合いが強く比較的に余裕のあるスケジュールだが、裕子への結婚記念日の挽回の手段が消えたのは痛い
そういえばもうずっと裕子を抱いていない
けれど深夜まで働き、こうして出張ばかりが続く今の仕事ではそれも仕方ない
妊婦を残して泊まり出張などできないし、今の状態からさらに育児を裕子に求めるのは心が引ける
仕方ないのだ
それにまぁ・・・妻はもともと、性にはあまり興味ないみたいだし
今の任されている仕事内容はあと1~2年は続くだろうか
あらためて晴樹は、大人しく従順に支えてくれる裕子への感謝の気持ちを感じた
家庭が安定してくれているおかげで仕事に専念できる
そして、出張の時だけの楽しみ・・・
それは、あるサイトに更新され続けているある女の記録を読む事だった
晴樹は、自分がSMに興味を示すなど思ってもいなかった
そのサイト・・・調教記録とでもゆうのか・・・を読み初めてから何ヵ月もたった今でも、自分がサディストになれるとは考えられない
なぜ惹かれたのかな
おそらく、女の名と体型が、愛する妻に似ているからだろうか
妻に同じ行為など求める事はないだろう
けれど、他人事としてならばなぜか興奮してしまう
女の名前はU子と書かれていた
ユウコと読める
ユウコ・・・裕子
もちろんアルファベットはイニシャルなんだとは思う
もしも裕子を同じように書き換えればY子となるはずだ
しかし、読みにした時に同じ音の名前とゆうのはやはり興奮してしまう
それにあの胸・・・あの腰付き・・・裕子よりも妖しい魅力に満ちてはいるが、とても妻によく似ている
だから惹かれるのだろう
晴樹は会社に近づいた事で思考を止めた
車を会社の駐車場に停め、デスクで出張の準備をする
午前中に飛行機に乗らなければならない
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