【7ヶ月後】
小島晴樹は月極め駐車場に停めてある車に乗り込み小さく溜め息をついた
妻の裕子と結婚して4年と半年が過ぎようとしている
視線の先にあるオーディオの画面には、時間だけでなく日付までが、まるで嫌味のように表示されている
11―10
晴樹は何の罪もないはずのオーディオを睨みながら呟く
「まったく・・・こんな日に」
半年前の結構記念日は出張で潰れてしまった
口には出さなかったが、さすがにそれは悪いと思っていた
裕子が責める言葉を言わないとはいえ・・・
挽回は早い方がいい
そしてそれは明日しかないように思えていた
明日の11日は、裕子に告白した日だった
別に記念日オタクのつもりはないが、告白したこの日の日付は記憶している
勇気を絞り出す為に半ばやけになり、ただのゾロ目とゆう理由のゲンを担いだのだ
それがよりによって、結婚記念日と同じように出張で潰れてしまった
「しかも今回は二泊かよ」
少し語気の強い、怒った声を出し車のエンジンをかける
立体駐車場のスロープに車を進入させ、いつもの手順で道路の手前で停車する
この時、サイドミラーに注意すれば状況は変わっていたかもしれない
けれど晴樹は、いつもの通り・・・運転手ならば誰もがするように、左右に目を向け道路の通行車を確認しただけで駐車場を後にした
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