その15
「あ、愛理ちゃん、そのお洋服とっても素敵よ。」
母の顔は引きつっていた。
「ありがとう。」
そう答え、ご飯をほおばった。母の顔など見たくなかった。
「正雄はどうだ?愛理を見てなんとも思わんのか?」
国雄に水を向けられた正雄はおろおろとしながら答えた。
「う、うん。すごく良く似合ってるよ。」
国雄は正雄をじっと見つめ放さない。
見られている正雄はもはや顔面蒼白だった。
「おっ起っちまうくらいにか?」
「えっ??」
顔面蒼白の兄はそれ以上言葉が出なかった。
「お前のチンコがビンビンになっちまうくらいに愛理は良いオンナかって聞いてんだよ。」
「は、はははっ。勘弁してよ父さん。愛理は妹だよ。。。」
兄の顔色はどんどん悪くなっていく。
「そうか。そうだよな。愛理はお前の妹だ。妹相手に欲情しちゃあマズイわなー。」
「は、はははは。。。」
そのまま誰も声を発せず無言が食卓を包んだ。3分。5分。
茶碗と箸が擦れる音以外は全くの無音だった。
ふいに国雄が言葉を発した。
「正雄。お前彼女いるだろ?どんなオンナだ?」
「えっ?か、彼女なんていないよ。。」
兄はもはや、国雄の顔を見る事ができない。
「ウソをつくな。お前の部屋を掃除したら、コンドームが山のように出てきたぞ?
彼女がいないと言うならなぜ部屋にそんな物がある?
お前愛理とやってんじゃねーだろうな?」
正雄はあぶら汗をかき始めた。やましい事がある正雄には耐えられないのは
当然の事だ。
だが、不思議なのは国雄だ。なぜ的外れな質問ばかりするのか。
国雄の真意が図れない。愛理ではなく、本当の正雄の相手は佐和子だ。
なぜ私を引き合いに出すのか。
「佐和子。お前はどう思う。コイツら怪しいと思わないか?」
佐和子は表情も変えず、冷淡に言い放った。
「どうかしら。確かに正雄さんは少し愛理をオンナとして見ている節がある気がします。
でも、どちらかと言うと愛理の方が正雄さんを誘惑しているんじゃないかしら。」
佐和子の言葉に開いた口が塞がらなかった。よくもぬけぬけと。私とお父さんは
2人の不貞をしっかりとこの目で見ているのだ。
国雄はナゼこのオンナを早く殴らないのだ。なぜ正雄を殴らないのだ。
その時国雄がテーブルを叩き、立ち上がった、そして右手を大きく上げ、振り落した。
だが、殴られたのは、佐和子でも正雄でもなく、私だった。
私はイスから転げ落ち、床に手をついて倒れ込んだ。
「な、なぜ。。これはどういう事だ。」
国雄は怒りで顔を真っ赤に染め上げている。
正雄と佐和子は茶碗と箸を持ったまま微動だにしない。
「おい、愛理。答えろ。お前は正雄にやられちまってんのか?」
私は必死に首を横に何度も何度も振り続けた。
「おい。正雄。お前はどうなんだ?愛理とヤッてんだろ?答えろ。」
正雄は未だに箸と茶碗を持ったまま答えた。
「と、とんでもないです。」
「へっ!だらしねー野郎だな。まだヤッテねーのか。
冴えない租チン野郎のお前なんて家族くらいしかやらせてくれるオンナいねーぞ?
なあ?そうだろ?正雄。」
正雄は膝までガタガタと震え出した。
「ふっビビりやがって。正雄。よく見ておけよ。
愛理。そこに立って、スカート捲れ。」
私はもう何が何だか分からず、動けなかった。
「早くしろ!!」
国雄の一喝で私は立ち上がり、国雄から買い与えられたタイトスカートを捲りあげた。
「おら。どうだ?正雄。良いオンナだろ?お前の妹は真っ赤なティーバックなんて穿いてる淫乱オンナなんだぞ?
何で手を出さないんだ?ほら?触ってみろよ。愛理のカラダに触れてみろ。」
正雄はまるで老人のように緩慢な動きで私の脚に触れた。
正雄の手は震えていた。
「そんな触り方じゃ愛理は感じねーぞ。感じさせてやれよ。お兄ちゃんだろ?」
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