その13
私と国雄が熱海から戻ってきたのは朝の5時頃だった。
私は家に着くとすぐ、国雄のためにお風呂を沸かした。
朝の5時であっても関係ない。
国雄は外出から戻ると必ず風呂に入らなければ気が済まない潔癖症なのだ。
「お父さん。お風呂が沸きました。」
「おう。」
国雄はそう言うと脱衣所で1人服を脱ぎ始めた。
「あ、あの。。今日はお背中どうしますか。。」
「あー。今日はいい。そのかわり俺が出たらお前も風呂に入っておけ。」
国雄はそう言うと1人で風呂に入っていった。
お背中流しをしないで済んだ事にはホッとした。
もう精神的にも肉体的にもクタクタだった。
このうえ、父の自慰行為を手伝わされるのは正直辛かった。
私は冷蔵庫の麦茶をコップに入れ、重いカラダをリビングのソファーにうずめた。
お前も風呂に入っておけよ。 先ほどの国雄の言葉を頭の中で反芻した。
とうとう、来る日が来たのか。そう思った。
いつか、父に犯されるかもしれないという恐怖は小学校の頃からあった。
お背中流しという名の父の自慰行為の手伝いが始まってからは、毎回覚悟して
父の待つ、風呂に入っていった。
だが、奇跡的にも国雄は体罰を加える時以外は私のカラダに触れる事は
今まで一度もなかった。
だが、今日はいよいよな気がしていた。
母と兄を追い払った理由は何か。中学生の私にだって想像がつく。
父好みの洋服に父好みの下着を着させられて、この後何も起こらないと考える方がどうかしている。
おまけに、つい数時間前に母と兄の淫らな行為も目にしている。
私が今日、このまま無事に済む可能性は極めて低いように思えた。
私は深く深呼吸をした。
覚悟を決めなければいけない。国雄を受け入れる以外に私がこの家で生きていく術などない。
「愛理ー!出たぞ。」
私は急いでバスタオルを持って国雄の待つ脱衣所に向かった。
全裸の父のカラダを隈なくバスタオルで拭きあげていく。
父のカラダは鍛え上げられ、腹筋は6つに割れ、無駄な贅肉1つない。
よその奥様方が見たら、それこそ生唾もののカラダなのだろうが、
私には恐怖でしかない。こんな肉体をした男に逆らっても敵うはずがない。
父の下半身は天井を向いて猛っていた。私はその部分もバスタオルで
包み、水滴をとっていく。
「よし。もういい。愛理、お前も風呂に入れ。出たら、下着はお父さんが買ってやったやつを穿くんだぞ。」
「うん。。」
やはり、父の意図は明白だった。私はお風呂からあがったら、
この男にバージンを奪われるのだ。それは高柳家に生まれてしまった私の抗う事の出来ない運命だと思った。
頭から熱いシャワーを浴びながら、ふと今が日曜日の朝だという事を思いだした。
友達は今何をしているかな。まだ寝てるか。部活をやってる子は
そろそろ起きたくらいかな。今日は天気が良いし、彼氏とデートする子もいるかも。
いいな。。いいな。。。
私は声を殺して泣いた。
※元投稿はこちら >>