その12
「あれ?アゴじゃん。こんなところで何してんの?」
声を掛けてきたのは、何年か前に我が校を卒業した生徒だった。
名前も憶えていないが、顔は記憶にある。
「な、なんだ。久しぶりじゃないか。元気にやってるか?」
一応教師らしい応対をした。
「あー。元気元気。アゴは相変わらずアゴしゃくれてんなー。」
名前も憶えていない卒業生はそう言ってケラケラ笑いながら去っていった。
くそ。せっかくの休日に嫌な気分にさせられた。
私は中学校の教師になって早20年になるが、生徒たちは歴代私の事を「アゴ」という
あだ名で呼び、それは現在に至るまで受け継がれている。
誰も好き好んでこんな容姿になったわけではない。
子供というのは残酷な生き物だ。分かっているが、慣れる事は出来なかった。
暗い気持ちを抱えたまま、私は秋葉原のAVショップに入った。
この店でエッチなビデオを買うのが、私の唯一の楽しみだった。
今年で46歳になるが、私には女房はおろか、恋人も友達すらもいなかった。
休日は毎週のように秋葉原に通い、AVを購入し、アイドルのイベントに参加したり、
AV女優や地下アイドルの握手会をハシゴしたりして過ごしている。
それ以外にやる事などなかった。
1人で家に籠っているよりは幾分マシだ。
店内に入った私は瞬時にいつもとは違う雰囲気を感じ取った。
何かがいつもと違う。空気がざわついている。
上だ。上の階でAV女優のリリースイベントでもやっているのだろうか。
しかし、告知はしてなかったはずだが。。
私は首を傾げながら2階、3階と上がっていった。
やはりおかしい。イベントはいつも2階で行われているはずだ。
なのに、観客たちの歓声はさらにその上の4階から聞こえてくる。
そしてこの只ならぬ熱気は何だ。
もしかしたら見逃してはいけないとんでもないイベントがシークレットで行われているのかもしれない。
私は急いで階段を駆け上がった。
4階は黒山の人だかりになっていた。
背伸びをして見ると1人の美しい女性がストリップを披露していた。
いや。ストリップなどと呼べるものではない。
この女性は明らかに自分の意思でこんな事をしているのではない。
やらされているのだ。たどたどしく服を一枚、また一枚と脱ぐ姿は
この女性が只の素人である事を如実に表していた。
只、残酷な事にオトコはその方が興奮するのだ。恥ずかしそうにしている方が興奮するのだ。
事実このイベントは通常では考えられない程の熱気を帯びていたのだ。
そして何よりもこの素人女性はあまりにも美しかった。
その場にいた皆が足を止め、彼女に目を奪われ、息を飲んだ。
服を全て脱いだ彼女は真っ赤なティーバックを披露した。
彼女は今にも泣きだしそうな表情をしている。
ふいに彼女は振り返り、後ろで腕組みをしているオトコを見た。
このオトコにやらされているのか。
その時、どこかでこのオトコを見たことがある気がした。
知っている。このオトコを知っているぞ。
わ、分かった。高柳の父親だ。何度か保護者面談などで顔を合わせた事がある。
整った顔立ちと役所勤めの公務員には似つかわしくない筋骨隆々の肉体には覚えがあった。
学校の女性教諭や保護者の間でも密かに人気のあるイケメンな父親だ。
そして、学校始まって以来の美少女と名高い高柳愛理の父親として羨望の眼差しを浴びる事も多い。
なぜ。高柳さんがこんな所に。。。
ま、ままままままままさか!!
私はもう一度ティーバックの美しい女性に目を戻した。
す、すごい!これはすごいぞ!!とんでもない事だ!!
なぜ私はすぐに気が付かなかったのか。あの女性は、
あの美しく哀れな女性は他ならぬ高柳愛理だ!
濃いメイクのせいかかなり大人びているが、間違いない。
間違えるはずがない。私の部屋は高柳の写真で溢れかえっている。
高柳を盗撮した写真はその数ゆうに100を超え壁一面から天井に至るまで
高柳の写真で埋め尽くされているのだから。
私は毎晩写真の中の高柳を犯しているのだから。
写真の中で笑う高柳の顔にザーメンを浴びせているのだから。
すごい。すごい。すごい。高柳が真っ赤なティーバックを私の眼前に晒している。
ティーバックは高柳の長い脚をさらに強調していた。
赤い下着は高柳の白くてモチモチした肌をより白く見せていた。
夢にまで見た高柳の下着姿がそこにあった。信じられない。信じられない。
私は急いで無音カメラのアプリを起ち上げ下着姿の高柳を盗撮した。
動画に切り替え、そちらでも録画し保存した。
高柳愛理のストリップショーは高柳の父の突然の中止宣言により
あっけなく終わりを迎えた。
携帯のカメラロールを確認する。
そこにはしっかりと真っ赤なティーバックを穿いた高柳の姿が写っていた。
間違いない。高柳愛理は父親から性的虐待を受けているのだ。
高柳の美貌が父親まで狂わせてしまったのか。
とにかく私にとんでもない幸運が舞い込んだ事だけは間違い様の無い事実だった。
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