その9
熱海に向かう道中、母は浮かれていた。やはりこのオンナは頭のネジが少し緩んでいる。
まあそれは今に始まった事ではない。ネジが緩くなければ、旦那の部下と関係を持ったりしない。
挙句の果てにはそれが国雄にバレてしまい、こっぴどい目にあったにも関わらず、今度は実の息子を誘惑し、
国雄の目を盗んでは、俺の部屋に来るようになった。
実に危うく、実に愚かなオンナだ。だが、そんなオンナほど、官能的な魅力を放っているものだ。
事実、俺も一度きりのはずが、二度、三度となり、今ではもう後戻りも出来ない。取り返しもつかない関係になっている。
「正雄ちゃん。二人きりで旅行なんて初めてね。私まだ信じられない。」
そう言うと助手席の佐和子は運転する俺の首すじにキスをした。
「お母さん。外ではまずい。誰が見てるか分からないよ。」
俺は考えていた。ナゼ父は俺とお母さんだけを旅行に行かせたのか。これは罠か?
やはり国雄は俺達の関係に気づいているのか。。そしてこれは何かの罠なのか。。
他に考えられる理由があるとすれば、愛理だ。
近年の国雄の愛理に対する執着ぶりはやはり違和感を覚える。
国雄は愛理をオンナとして見ている節がある。
俺と佐和子を追い出して、国雄は家で愛理に何をするつもりだ?
まさか!!。。いや。馬鹿げている。愛理はまだ中学3年生だ。実の娘だ。
「正雄ちゃん。。何難しい顔してるの?」
佐和子は俺の太ももをさすりながら色目を使っている。
「お母さんはどう思ってるの?この旅行の事。お父さんの言葉が本心だとは到底思えないな。」
佐和子は前に向き直ると、深いため息を吐いて、険しい顔を作った。
「あの人の考えている事なんて分からないわ。考えたくもないもの。」
「そうだね。。」
バカなオンナだ。考えたくなくても考えなければいけないのだ。
万が一にも俺達の関係が国雄にバレる事があったら、俺とお母さんは破滅だ。
どんな目に合わされるか分かったものではない。
愛理は優しかった頃の国雄を知らない。だが、俺には少し記憶がある。
国雄は優しくて、愛妻家だった。それが突如、ある日を境に父は暴君と化した。
幼い自分には理由が分からなかった。
だが、今ならよく分かる。バカなオンナだ。バカなオンナが自身の浮気が原因で
愛妻家を暴君に変貌させたのだ。
今の父は母に復讐をするような生き方をしている。
母をなじり、暴力を振るい、監視し、家政婦のように扱い、母から自由と尊厳を奪い取った。
その母のストレスの捌け口が俺というわけだ。
母は運転する俺の股間に顔を埋めた。
「ふふふっ。正雄ちゃんおっきくなってるじゃない。」
「か、かあさん。。うっ。。あっ!ああ。。そのまま。。
そのまま続けて。。ああ。イイっク!!」
そして一番のバカは俺だ。俺は救い難い程のバカなオトコだ。
このオンナを愛おしく思ってしまっているのだから。
守ってやりたい。独占したいと思ってしまっているのだから。
「ごめんなさい。レンタカーなのにシート汚しちゃったわ。。」
息子のザーメンを飲み干した母は少女のように恥ずかしそうに笑った。
その顔は愛理にそっくりだった。。。
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