男社会の剣道界に育った優理子だったが、これまで夫以外の男性と付き合った経験は無い。
もちろん類まれな美貌と天才的な剣の腕前から白ゆり剣士と異名を取る独身時代の彼女に、
熱烈な想いを寄せる男は多かったが、生来の潔癖さと武道を究める真摯な姿勢が異性への
関心を二の次にしていた。
そんな彼女が今、夫にしか見られたことのない裸体を不良たちの前に晒している。
鍛え抜かれた身体は決して筋肉質ではなく、しなやかに瑞々しい。
豊かな乳房からくびれたウェストまで見事な曲線を描き、引き締まったお尻が上を向いている。
そんなスレンダーな身体に優理子は面と甲手だけを装着している。
その姿はいかにも頭でっかちで滑稽だった。
しかも顔が隠れている分、首から下の成熟した肉体を強調しているようだ。
「へへへ、先生オッパイでかいね。旦那さんにいつもモミモミしてもらってるんじゃないの?」
「お毛毛も結構濃い方じゃね? 太ももなんてムチムチして、流石は人妻だよな。」
不良たちがはしゃいで優理子に卑猥な言葉を浴びせる。
(駄目よ…恥ずかしがっては駄目…弱みを見せたらこの子たちはますます調子に乗ってしまう…)
剣道に対する冒暖と裸を見られる羞恥に苛まれながら、面金に隠れた表情を読み取られないのが
せめてもの救いだった。
「さあ石田君、始めるわよ…早く掛っていらっしゃい。」
優理子は虚勢を張って石田に試合開始を促した。
裸を晒す時間を少しでも短くしたい優理子の気持ちをあざ笑うように、石田はなかなか彼女に
向き合おうとせず、瑠奈や耀子の声援に愛嬌たっぷりに応えたり、小峰と馬鹿話に興じている。
優理子にはもう一つの不安材料が芽生えていた。
坂本たちに施された浣腸が徐々にその効果を現し始めているのだ。
しばらく前から度々差し込むような痛みがお腹を襲っている。
(まさか…そのための時間稼ぎをしているの?)
へらへらした石田の態度が浣腸の効果を着実に引き出すための作戦だと思わざるを得ない。
優理子の背筋に冷たいものが走った。
「へへへ、先生、待たせたね…じゃあ試合を始めようか。」
竹刀を構えた石田はのんびりとした動作で優理子に向き合い、中腰にしゃがんだ。
「へへっ、蹲踞って言うんだろう? 対戦相手に対する礼なんだってねぇ…
さすがは礼に始まり礼に終わる伝統武道だよ… 」
いたずらっぽい目で石田が言った。
「ほらほら先生も蹲踞、蹲踞…」
優理子は石田が剣道の作法を口にしたのに驚いた。
しかし、その作法は全裸を晒す優理子の恥辱を一層煽り立てることになることは明白だった。
「俺ってこう見えても礼儀にはうるさい方でさ…蹲踞してくれないと試合は始まらないぜ。」
石田の言うとおり、優理子もそれに応じるのが道理に適っている。
さらにこうしている間にも浣腸液は着実に腸内を循環し、痛みを増していた。
(恥ずかしくない…恥ずかしくない…試合前には当り前の作法よ…
今まで何千回もして来たポーズじゃない…)
自分に言い聞かせ、優理子は蹲踞の体勢を取った。
「ウヒョ…見えた、見えた…先生のマンコ、ぱっくり開いてるぜ。」
蹲踞の姿勢は竹刀を構えてつま先立ちで中腰にしゃがむ。
バランスを取るため若干身体を半身になった体勢は自然に膝が開いてしまうのだ。
もちろん通常は袴に隠れ、伝統美に則った凛々しい姿勢である。
しかし今は目の前の石田から無防備な股間が丸見えだ。
股間に注がれる石田の卑猥な視線に優理子は激しい羞恥に苛まれる。
「うっ…うぅぅ…」
次の瞬間、優理子は思わず呻き声を洩らした。
蹲踞の姿勢は恥ずかしいところを見られる恥辱とともに、しゃがみ込む動作は下腹に
過大な負担を掛けたのだ。
腸が捩じれるような痛みとともに強烈な便意が優理子を襲った。
優理子は恐怖に身を竦ませた。
裸を見られた上、この子たちの前で粗相をしてしまったら…
そうなれば教師を続けられなくなってしまう。
それどころか人としての尊厳も跡形も無く砕け散る。
時間との戦いだと優理子は思った。
徒に時間を費やせば浣腸は最悪の事態を招くのは確実である。
(今なら まだ戦える。)
優理子は気力を振り絞り、蹲踞の体勢から身を起こし、戦闘態勢に入った。
…優理子はそのつもりだった。
体の中心線を真っ直ぐに、背筋を伸ばした正段の構え…数々の選手権を制し、
白百合に例えられた優美で隙の無い構えのはずだった。
しかし不良たちから嘲りの笑いが起きる。
「いやん、何よ~そのへっぴり腰ぃ~」
「内股で何モジモジしてんだよ。」
優理子は直立出来なかったのだ。
中腰から立ち上がる動作もまたお腹に刺激を与え、狂おしい便意がこみ上げる。
前屈みに身体を折り、太ももをよじり合わせてしまう。
そうしないと漏らしてしまいそうだった。
本能的に左の甲手はお腹を押さえ、辛うじて右の甲手だけで石田に竹刀を向ける。
「へへへ、どうしたんだい白ゆり先生よぉ…ウンコでもしたいのかい?
そんな構えじゃ素人の俺でも楽勝で勝っちゃうなぁ。」
石田は浣腸の効果が現われているに満足げな表情で、卑猥な笑みを浮かべている。
「でもほら、勝負は勝負だから遠慮なく一本戴いちゃうね。」
石田は余裕の体で構えた竹刀を優理子の面を目がけて振り下ろした。
しかし修練を積んだ剣士としての本能は無意識の内に襲い来る一撃を右手一本で
持った竹刀でたやすく払い退けた。
石田の竹刀を巻き込むような動きで奪い取り、宙に弾き飛ばした。
「おい石憲、どうしたどうした…半病人の八木先生にも敵わねぇのかい。」
強烈な反撃の一打に手が痺れている石田に坂本の野次が飛ぶ。
瑠奈と耀子からも失笑が洩れ、石田の面目は丸潰れである。
しかし、その一連の動きはさらに優理子を窮地に追い込んだ。
激しい動きが優理子の便意を一気に我慢の限界まで追いやったのだ。
「ぐぅう…駄目ぇ…!」
お腹の中で激流が暴れている。
もう立っていられない。
優理子はその場で膝を突いた。
剣士の魂とも言える竹刀を手放し、両手でお腹を押さえて海老のように身体を丸めている。
すっかり面目を失った石田は振り落とされた竹刀を拾い上げると
用心深く膝立ちで悶える優理子に近づいた。
「ちょっと油断しちまったが、今度は容赦しないぜ。」
面の下から石田を見上げた優理子は怯えた。
あと一押しされたら漏らしてしまう。
「お、お願い…ト、トイレに行かせて…」
絞り出すような声で優理子は哀願する。
「ヒヒヒ…ウゼェな、先生…昨日の威勢の良さはどこ行ったんだい。」
完全に戦闘意欲を喪失した優理子に石田は再び竹刀を打ち下ろす。
「痛い…!」優理子が悲鳴を上げた。
石田は面ではなく防具に守られていない肩に一撃を加えた。
「面とかに決めちゃうと勝負がついて、トイレに行かれちゃうからなぁ。」
わざと勝負を付けずに優理子を嬲り者にするつもりなのだ。
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