「あなたたち、何をしているの!」
息せき切って道場に飛び込んだ優理子の目に飛び込んだのは、全裸に胸縄をされ、
両手を後手に縛られた恵理子の姿だった。
その縄尻を中谷が持ちながら恵理子を羽交い絞めにし、ナイフを彼女の頬に当てている。
「あぁ…八木先生、ごめんなさい…」
恵理子の顔に刃物に対する怯えの色が浮かんでいる。
優理子は咄嗟に家から持って来た愛用の竹刀を構える。
「おっと先生、動くなよ…可愛い恵理子チャンの顔に醜い傷が付いちゃうぞ。」
中谷がナイフの先をさらに強く恵理子の肌に押し付ける。
「中谷君、馬鹿なことはやめなさい…これは立派な犯罪よ。さっさと深沢さんを離すのよ。」
優理子には自信があった。
この間合いなら中谷が恵理子を傷つけようとする刹那、竹刀でナイフを持った手を払い、
そのまま強烈な突きを見舞って恵理子を無傷で救い出す。
自分の剣にはそれだけのスピードがある。
中谷の目の動き、筋肉の動き、体重移動…優理子の目はすでにその一瞬を見切っていた。
「よぉ、怖い顔してるね、八木センセ…剣道の達人なら中谷ごとき簡単に料理出来ると
高を括ってないか?」
中谷と数メートル距離を置いた坂本が石田、瑠奈、耀子とつるみながら嘲笑う。
「やだ~八木先生ったら怖い~」
瑠奈が茶化すように声を掛けた。
「あなたたち、本当に救いようがないほど学習能力がないわね。
昨日、先生の腕前はたっぷり味わったでしょうに…よほど痛い目が好きなのかしら?」
優理子はまだ余裕だった。
こと竹刀を握った優理子には不良生徒の3人や4人恐るに足らない。
笑みさえ浮かべ坂本たちを挑発するように言い返した。
「ナイフなんか持ち出して女の子を脅すなんてチンピラもいいとこね。
たっぷりお灸を据えてあげるわ。」
「クク…流石は白ユリ剣士だね。俺らもチンピラ扱いだよ。
けどさ、先生、あちらも見てくれないかな。」
坂本が指し示したのは坂本がいる場所から中谷たちとは正反対の場所に立つ小峰だった。
小峰は自分のスマホを掲げてニヤニヤ笑っている。
「さっき先生に送った恵理子の動画なんだけどさ…クク、小峰がワンクリックするだけで、
ネットにアップされるようになっているんだよ。」坂本が言った。
「エッ?」
初めて優理子の顔に動揺の色が走る。
「へへ、先生に送ったのはまだおとなしめの奴だけど、こいつは実名入りでズコズコ
ハメまくってるぜ…」と小峰がドヤ顔で言う。
「一度ネットに流れたら回収不能なのは先生も分かるよね…全国どこでもエロ動画が
流出したら、もう恵理子はまともな学園生活は送れなくなっちまうな…」
「あらぁ~学園生活どころか一生どこの誰とも知れないエロ男たちに付きまとわれるわ~」
「あ、あなたたち…何て恐ろしいことを…」
優理子は中谷と小峰の立つ位置を目算した。
間に坂本達を挟んで約10メートル…いくら素早い動きでも同時に2人を打ち据えることは出来ない。
「さぁどうする、白ユリ先生? 顔に大きな傷を付けるか、ネットの人気者になるか…
恵理子の人生は先生次第だぜ。」
*****
「うぅ…分かったわ…あなたたちのことは見逃してあげる。学校にも言わないわ…
その代わり深沢さんは連れて帰ります。」
卑劣な生徒に屈しなければならない屈辱に肩を震わせて優理子は絞るような声で譲歩した。
「あら笑える…先生、ホントは頭悪いでしょ…今の状況分からないの?」
「私たち~別に学校に言いつけられても全然平気なんですけど~
でも恵理子は辛いでしょうね~八木先生のせいでエロアイドルになっちゃうんですもの~」
瑠奈と耀子がさも愉快げに嘲笑った。
「ど、どうしろって言うの…」
優理子は自分の考えが甘かったことを悟った。
彼らの悪事を見逃すだけでは済まないと言うのだ。
「ククク…こいつら先生にコテンパンにやっつけられてリベンジしたいって言うんだよ。
俺も卑怯な真似はしたくないから、ここは一つ先生の得意な剣道の試合で正々堂々と決着を
つけようと思っているんですけどね。」
理不尽な要求を予期していた優理子は坂本の言葉に拍子抜けした。
「先生が勝てば恵理子の画像は全部削除するし、今後は恵理子にもチョッカイ出しません。
でも試合にはちょっとしたハンディを付けさせてもらいますよ。」
もちろん素人相手では勝負にならない。
優理子はその申し出を一も二もなく了解した。
*****
更衣室で剣道着と袴に着替えた優理子は、昼間、生徒たちを魅了したのと同じく颯爽とした
女剣士ぶりだった。
彼女が着替えをしている間も全裸で中谷に抱きすくめられている恵理子に目を向ける。
(深沢さん…頑張ってね…すぐにあなたを助けてあげる。)
作法に則り、正座した左側に竹刀を置き、頭に手ぬぐいを巻き、防具を身につけようとした時、
試合相手の石田は対面で短パンとTシャツ姿で練習のつもりか闇雲に竹刀を振り回している。
「石田君、防具を付けないと怪我をするわよ。」
優理子は不真面目な石田の態度に腹を立てながら忠告した。
「俺はこれで大丈夫だよ。防具とか汗臭くて付けらんねぇよ。」
こんな試合一刻も早く終わらせてしまおう。
軽く頭に面を入れれば懲りるでしょう。
優理子はそれ以上何も言わない。
「さて、先生…ハンディの件だけど、先生には裸になってもらおうか。」
坂本は卑猥な笑みを浮かべ、こともなげにそう言った。
「えっ…そんな無茶な要求は呑めないわ!」
優理子が声を荒げて反発する。
「素人の石憲が防具付けないんだから、先生は何も付けないくらいが丁度いいだろう。
クク…それに恵理子も一人だけ丸裸なのは寂しいって言ってる…」
「ふざけないで! 神聖な剣道の試合をそんなふざけた姿で出来る訳ないでしょ。」
しかし、小峰はスマホを優理子に向け、クリックする素振りを見せる。
「いいのかなぁ…押しちゃうよ…」
「あぁっ…待って…」
優理子は一瞬躊躇いの表情を浮かべ、低く絞り出すように言った。
「わ、わかったわ…ぬ、脱ぎます…だからスマホをしまって…」
ほんの一瞬である。
石田に面を入れるまでのほんの一瞬、恥ずかしさを我慢すれば恵理子を助けられる。
優理子は剣道着を脱いだ。
剣道着の下の白いTシャツを脱ぐとブラジャーが現れる。
「先生、先に袴を脱いでくれよ。」
体の後ろで蝶結びにした前紐を解くと、はらりと袴は足元に落ちた。
部屋で寛いでいる時に飛び出して来た優理子はパンストも穿いていない。
「あとはブラとパンティね…さっさと脱ぎなさい。」
耀子に促され、優理子はおずおずと最後に残った2枚を脱いだ。
全裸の優理子に不良たちは息を呑む。
染み一つない白い肌に完璧なプロポーション。
武道で鍛えた肢体は弾けそうなしなやかさを持っている。
「あぅ…み、見ないで…」
優理子は思わずその場にしゃがみ込んでいた。
腕で豊満な乳房を隠し、股間に手を当てて視線を遮る。
「先生、丸裸では怪我するから、面と甲手くらいは着けさせてやるよ。」
「い、いらないわ…それより…うぅ…早く試合を…」
「何、俺たちの好意を聞けないってぇの? じゃあ、恵理子の画像もアップね。」
それは剣道家としては最も屈辱的な姿だった。
頭隠して尻隠さず…面と甲手だけを着用した姿はいかにも間が抜けている上、一番隠したい
部分は丸出しである。
「けへへ、八木先生…オッパイが揺れて邪魔なんじゃない?」
「白ユリちゃん、お毛毛がずいぶん濃いんじゃない?」
不良たちの嘲りが優理子を苛む。
平時であれば面を被り、面金の正面しか視界が無くても常に四方への配慮は怠らない。
誰かが後ろから近づけば気配でそれを察知出来るほどに訓練されているのだ。
しかし、耐えがたい羞恥に塗れた優理子は完全に後ろへの警戒を怠った。
坂本が背後から優理子を締め上げたのだ。
慌ててその手を振り解こうとしたが、坂本の腕力は並外れていた。
剣にかけては無敵でも屈強な男との腕力勝負では敵わない。
「もう一つハンディをもらうぜ。」
坂本が立てた膝に前のめりに乗せられた優理子はお尻を突き出した形で押さえつけられる。
「うふふ~先生に浣腸しちゃ~う…」
瑠奈が素早くイチジク浣腸の先を肛門に差し込んだ。
「う、嘘…! 浣腸なんてダメ!」
直腸に冷たい液が注入される感覚に、優理子は背筋が凍りついた。
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