2年B組の授業は優理子にはある意味楽しみだった。
あの小谷先生が担任するクラスだ。
いろいろ評判を聞いている。
生徒思いの熱心な指導に加えて、その理知的でかつ可憐な容姿も相まって、生徒たちの信頼と
憧憬を一身に集めている。
学年が始まった当初に、イジメに遭い不登校だった平田という生徒を熱心な説得で立ち直らせたらしい。
また、学園始って以来の問題児と言われた坂本勝彦が恐喝事件を起こし、退学寸前まで追い込まれたのを、
職員会議での捨て身の説得で停学処分に留めたのはまだ最近のことらしい。
坂本も改心し、最近はサボり勝ちだった学校にも真面目に登校し、授業態度も目に見えて良くなったのは、
小谷先生の真摯な指導の賜物だと誰もが認めるところである。
(さすがは小谷先生だわ。)
新卒2年目で初めて担任を持ったわずか数ヶ月で、ベテラン教師でも逃げ出しそうな案件をあっさり
解決した小谷先生に優理子の好感はますます深まる。
問題児ばかりではない。
このクラスには美少女が多いことも特徴的である。
深沢恵理子、広木彩香、佐伯瑠奈、西野耀子、吉川百合絵…
男性教諭が「『類は友を呼ぶ』ならぬ『美女は美女を呼ぶ』だよな。」とやっかみ気味に言って
いたのを優理子は思い出す。
中でも深沢恵理子は学年トップの優等生である。
優理子は天から二物を与えられた美少女の端正な美貌に思わず見とれてしまった。
これまでの優理子の経験では初めての授業の時には、特に男子生徒は彼女への興味から騒然と
するのが常だった。
担任のD組の教室でもそうだったように異性への興味はこの年頃の男子の最重要関心事項である。
しかしこの2年B組は小谷先生の指導がよく行き届いているのか、私語もなく整然としていた。
あまり行儀が良すぎて違和感を感じるほどだ。
(もう少しやんちゃな生徒がいてもいいくらいだけど…)
そう思いながら優理子は件の坂本勝彦やその取り巻きが休んでいることに気が付いた。
偶然と言えば偶然なのだろうが、『元』問題児たちが揃って休んでいるのに、優理子は胸騒ぎを覚えた。
「せ、先生…あの…ト、トイレに行ってもいいですか…」
不意に一人の女子生徒が言うのが聞こえた。
(深沢さん…?)
意外な生徒からの意外な申し出だった。
しかも立ち上がった彼女の制服の スカートは極端に短い。
長く華奢な脚が優理子の目に飛び込んで来る。
「へへへ深沢さん、大きい方?小さい方?…」
「うっ…うぅ…大きい方です…」
優理子は驚いた。
いじめられっ子だったと言う平田が学園のアイドルとも言うべき恵理子に下品な質問を投げかけ、
それに対して彼女は正直に答えているのだ。
「ねぇ深沢さん…大きいとか小さいとか、何のことかさっぱり分らないじゃない。
もっと分かりやすい言葉で言いなさいよ。」
追い討ちをかけるように西野耀子が言った。
「あぁ…ウ、ウンチです…恵理子はウンチしたくてたまりません…どうかトイレに行かせてください!」
顔面を蒼白にして哀願する恵理子に優理子は慌ててトイレに行く許可を与えた。
「うぅ…漏れちゃう、漏れちゃうぅ…」とお腹を押さえて教室を飛び出す恵理子をクラスメイトが
お腹を抱えて笑いものにする。
「センセ~、深沢さんのお行儀の悪さを許してあげてね~あの子、浣腸が趣味なのよね~」
瑠奈が笑いながら説明するのを優理子は茫然と聞いた。
※元投稿はこちら >>