その9
麻美がトイレから戻って来て、私はいよいよ麻美を口説きにかかる事にしました。
すでにだいぶ酔っているようですが、さらにもう一杯
注文し、そのグラスが空になったタイミングで箸袋にボールペンで「これからまだ時間ある?2人で飲み直さない?」と書いて麻美の前に差し出しました。
麻美は箸袋の文字を読み終わると、「ふふふっ♪」と笑い私の耳元で「良いよ♪」と囁いてくれました。
私は箸袋を裏返し「俺が店出た後10分したら麻美ちゃんも出てきて。」と書き、テーブルにおいてある麻美の携帯を取り、自分の携帯にワン切りしました。
店出たら、電話して。と麻美の耳元で囁くと、私はみんなに向かって、明日仕事が早いから先に帰らせてもらう事を伝え、席を立ちました。
去り際にチラッと恵美を見ると恵美も私を見ていて目が合いました。
恵美はもしかしたら、この後私に誘われる事を期待してたのかもしれません。
そんなオアズケを食らったチワワのような表情を向けて来る恵美を無視し、店をでました。
心の中で「恵美、お前はまだだ。お前から欲しいと言うまで、俺はお前を抱かない。覚悟しておけ。」とつぶやいて。
麻美は10分後に。という言いつけをしっかり守り、きっちり10分後に私の携帯が鳴りました。
「もしもし?」
「麻美でーす。」
私は行きつけのBARを指定して、そこに来るように伝えました。徒歩でゆっくり歩いても5分の所ですが、駅から反対方向に歩く事になるので、他の連中と後でバッタリなんて事はまずないだろうと判断しました。
そのBARはカップルにイヤラシイ事をしろと言わんばかりに照明を落とし、音楽はクラブほどの大音量ではないものの大きめで、完全な個室と半個室の2種類しかないため、口説くには最高の環境でした。
今の麻美ならいきなりカラオケボックスやラブホテルに連れ込んで、ヤってしまっても問題ないとは思いましたが、それではあまりに面白くない。
少し駆け引きを楽しみたいと思いBARにしました。
後は純粋に麻美がどんな子なのか知るために色んな話しをしてみたいと思ったのです。
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