その18
「恵美ちゃんは彼氏とかいないんだよね?」
「いませんよ。もう随分いません。」
本当は私に彼氏がいた事などなかった。
「もったいないなー。何で?今はいらないとか?」
「いえ。そういうわけじゃないんですけど。なかなか、出会いもないんです。大学の男子は何か子供っぽくてあまり恋愛対象にはならないし。」
「年上の男が良いの?」
「そうですね。10歳くらい離れてるくらいがちょうど良いのかも。。」
「恵美ちゃんの10コ上だともう30過ぎだよ。良いの?」
「全然大丈夫です。それくらいの男性の方が紳士だし、私が知らない事を色々教えてくれたり、知らない世界を見せてくれたり、何か刺激的でワクワクしそうだな。って思っちゃいます。」
そう言い終わり、ふと野川さんの顔を見ると今までの弱々しい印象の表情は消え失せ、獲物を狙うオスの目つきに変わっている事に気づいた。
私は、頭の中で安藤さんを想い描いて話しをしていたが、野川さんはどうやら自分の事と解釈してしまっているようだった。ムリもない。年上の男とこうして2人でお酒を飲み、理想を聞かれて年上のオトコが良いと答えているのだ。私の方から誘っていると誤解されてもムリはなかった。
自分の過ちに気づいた時には時すでに遅く、
野川さんは大胆に私との距離を詰めて来ていた。
「恵美ちゃん。」
「えっ!えっと。はい。。。」
「俺が恵美に知らない世界を見せてあげるよ。」
野川はそういうと私に抱きついてきた。
「いや。あの。野川さん?ちょっと待って。」
「恵美、心配する事はないよ。俺に任せておけばいい。
恵美は只、じっとそこで座っていれば良いんだよ。」
野川の目つきは恐ろしく鋭く、恐怖すら感じた。
獲物をロックオンした肉食獣そのものだった。
羊にこのピンチを脱出する術など残されているのだろうか。
野川は私の許可など取らずに無遠慮に私のクチビルを貪り、さらにはスカートの中に手を差し込み、ストッキング越しに太ももやお尻やアソコを撫で回し始めた。
野川のキスは只、醜悪で吐き気がした。
キスも私を触る手もまるで早食い競争とばかりにせわしなく動かし、下品極まりなかった。
私はガマン出来なくなり、野川を目一杯のチカラで撥ね退けて、「お願いだからやめて下さい!」と、野川を睨みつけた。
私は呼吸を整えて、もう一度野川に言って聞かすように
冷静な口調で「野川さん。やめて下さい。」と言い。立ち尽くす野川を上目遣いで睨むように見つめた。
これで諦めてくれるかと期待したが、野川はどこか様子がおかしい。私の言葉など耳に入っていないといった様子だった。
「恵美。。お前。。。」
野川はそうつぶやき私に歩み寄ると、いきなり私のスカートを捲り上げた。
「やっぱり。恵美お前何でパンティーを穿いていない?
お前はずっとノーパンでいたのか。。変態だよ。お前は変態だ。本当はノーパンで飲み会に参加して興奮していたんだろ?どうなんだ!答えてみろ!
野川はそういうと私を床に倒し、羽交い締めにした。
私は動く事が出来なかった。チカラだけではなく、野川の恫喝が恐ろしかった。あんな大きな声で男に怒鳴られた事などなかった。
野川は私をマウントポジションから見下ろしながら、さらに大きな声で恫喝の言葉を私にぶつけてきた。
「おい。コッチを見ろ。コッチを見ろと言ってるんだ!」
わたしは強引に野川の手で顔を向けられた。
目からは涙が溢れて野川の顔はボヤけていた。
「おい。恵美。いいか。今から俺の言う通りにしろ。
じゃないと、俺は何をするか分からないぞ。
分かったか?分かったら返事をしろ。」
「はい。」
涙で声にならなかった。
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