その16
それから卒業までの一か月間、私は松田くんに守られながら下校した。
結局最後まで何も起こらなかったが、私は沢田くんとストーカー集団という見えない敵に怯える事となり
そしてそんな私の不安を一身に背負い守ってくれていた松田くんに私は好意を抱くようになり、関係を持った。
松田くんは私にとって初めての相手だった。最後の2週間は下校の途中に神社の境内に寄ってそこでSEXをするのが日課になっていた。
只、今になって思う事がある。本当に沢田くん率いるストーカー集団なんて存在したんだろうか。
存在したとして、実は松田くんもその一員だったという事はないだろうか。もしかしたら、ストーカー集団のボスは松田くんだったという事はないだろうか。
この事は出来るだけ考えないようにしている。真相など知りたくもない。真相がどうであっても私がバージンを捧げた相手が松田くんである事はもはや変えようのない事実なのだから。
高校でそんな事があったという事もあり、大学に入ると私は男子を敬遠するようになってしまった。男子からお高くとまってるとか陰口を言われてるのは知っていたが、男が何を考えているか分からなくて怖かった。
松田くんに言われた「お前は男をおかしくさせてしまう。」という言葉が頭にこびり付いて離れなかった。男性と親しくなる事に臆病になってしまった。
只、その反面年齢的にも私の性に対する興味は増す一方だったし、何よりまだ、松田くんにしか抱かれた事がないという事実がたまらなくイヤだった。
誰でも良いというわけではない。松田くんの事など、一瞬で忘れさせてくれるほどの本物の男に抱かれてみたかった。
野川さんはどこか、松田くんと同じ小者の匂いがした。安藤さんからは今まで出会った男とはまるで違う底知れぬ危険なオーラを感じた。それは恐ろしくもあり、甘美でもあり、私は結局恐れながらも自ら安藤さんがいるトイレに向かってしまった。
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