その15
「相川。ふざけたお願いだという事は分かってる。でも、気を悪くしないで聞いて欲しいんだ。」
「なに??お願い?あたしに?」
「ああ。言いにくいんだけど。。」
「なによ。」
「実は。。お前の事が好きで好きでたまらないって奴らがこの学校中にいる。知ってると思うけど。」
「えっ。知らないよ。そんなの。。」
「いるんだよ。一人や二人じゃない。何十人といる。」
「うそ。それで何?お願いって。」
「何でも良いから欲しいんだ。お前の物が。制服のボタンでも、髪の毛を束ねてたゴムでも、カチューシャでも、靴下でも。」
「何それ?本気で言ってるの?」
「ああ。」
「そんなのムリだよ。。」
「たのむ!何も持って帰らないわけにはいかないんだ。」
「どういう事?」
「俺、そいつらが良くない事を話し合ってるのを聞いたんだ。卒業までに相川をどうにかできないものかって。」
「えっ?」
「まさか夜道で襲ってやろうとかそこまでの話しではないと思うけど。相川今まで色んな物盗まれた事あるだろ?」
あった。私は高校3年間で体操着やソックス、リコーダー、部活のロッカーに入れていたスポーツブラまで無くなっていた事がある。
「それで?」
私は震える声を抑えて答えた。
「みんなそいつらの仕業だよ。ファンクラブと言えば聞こえは良いが、今となっては集団ストーカーだ。奴らは変に組織化されていて
上下関係みたいなものも存在する。だから下っ端の奴は無茶をさせられるんだ。女子ロッカーに侵入して着替えを盗むくらいわけない事だし。
そいつらはみんな隙をみてはお前を盗撮してた。奴らは盗撮した写真を交換し合ってそれをズリネタにしてるんだよ。」
私は頭が真っ白になり、吐き気をおぼえた。
「相川。お前はカワイイだけじゃないんだ。何て言うか男をおかしくしちまうんだ。お前を見てエロい事を考えない男はいないんだ。自分では分からないと思うけどな。」
「分からないよ。あたし。。どうすれば。。」
「そのグループを仕切ってるのは同じクラスの沢田だ。」
沢田というのは180cm以上ある大男でケンカが強い事で有名なワルだった。
「沢田くんが?」
「ああ。あいつは自分がバカで不細工なのを自覚してるからな。お前に告白するなんていう正攻法はハナから諦めていたんだろう。」
私は底知れぬ恐怖を感じて全身から血の気がひいていた。
「松田くんあたし。。。」
「大丈夫だ。俺が守ってやる。よく聞け。卒業までの一か月間下校時は俺が見張っていてやる。
それと最初に言ったようにお前の物を出来るだけ多く欲しいんだ。それで沢田に仕えてる小者どもは抑え込む事が出来る。
だからできれば奴らが喜ぶような物が良い。」
「たとえば?」
「ブラジャーやパンティーはムリか?」
「そんなのムリだよ。。」
「恥ずかしいのはよくわかる。でもそれで襲われるリスクが軽減するかもしれないんだ。
沢田一人なら俺も戦えるが、集団で来られたら俺でも守りきれないかもしれない。
ブラウスやスカートでも良い。」
「分かった。スカートやブラウスなら何とかする。でも、あたし何か怖い。。」
「大丈夫だ。俺を信じろ。」
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