その68
もう夕方の4時を回ったというのに、私の頭の中は相変わらず、昨日の出来事の反芻に忙しい。
安藤さんと沙織のSEX。公園での事。タクシーでの事。そして、私の部屋で私と安藤さんは一つになった。
身体だけではなく、心も一つになるような、そんな強く、優しいSEXをした。
SEXとはこんなにも素晴らしいものなのか。
私はこの喜びを知り、自分が昨日より、遥かに大人になったように感じていた。
朝方、会社に出社する安藤さんを見送ると私はシャワーを浴びた。
本当はもう少し、安藤さんの匂いを温もりを留めておきたかったが、そうも言ってられなかった。
私はある決意をしていた。やらなければならない。
逃げていても事態が好転する事は望めない。
ならば、自らが動くしかないのだ。
早くしなければ、私のせいで安藤さんに迷惑や危害が加わる事態も考えられる。
野川を何とかしなければいけない。
私に何が出来るのか、どうすれば良いのか、答えなど出てはいなかったが、じっとしてはいられなかった。
このままでは、またどこで襲われるか分からない。
また、部屋に来てレイプされるかもしれない。。
そこで私はまず、野川を知る事から始める事にした。
ストーカーの野川を私が逆にストーキングするのだ。
どこに勤めていて、どこに住み、どんな生活をしているのか。
その中で、もしかしたら、野川の弱みを握る事もできるかもしれない。
私は手短にシャワーを済ませると、一糸まとわぬ姿で姿見の前に立った。
この身体が昨日安藤さんに抱かれたのか。。そう思うと自分の身体がたまらなく愛おしく感じる。
私は無意識の内にクローゼットの中から一番大人びた服を選んでいた。
「安藤さんのオンナ」が冴えない貧乏学生と大差ないカッコでいるわけにはいかない。
少なくても、今日はそんな服は着たくなかった。
安藤さんと並んで歩けるような服を着たい。
「私、安藤さんの彼女なの。」そんな事を言える日は来ない。
それでも安藤さんに染まりたかった。
クローゼットの中にはろくな服が無い。全部捨ててしまおう。
こんな服はもう私には似合わない。
白いスキニーのパンツにオーバーサイズのカーディガンを羽織り、ストールを巻いた。
今の私に出来る目いっぱいの恰好だった。
オシャレに詳しい麻美とショッピングに行った時に麻美がチョイスしてくれたコーディネートだった。
歩き回る事を考慮して、靴は低めのヒールをチョイスし、私は渋谷に向かった。
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