その60
私と麻美は10畳ほどしかないワンルームアパートの一室で対峙している。
麻美は私に明らかな嫌悪感を表し、睨みつけるような視線を私に送っていた。
当然だ。部屋に侵入され、妹を拉致され、不倫をネタに自らの身体も弄ばれようとしているのだ。
「なあ麻美。お前を見ていると高校時代の事を思い出すよ。
俺は高校時代、廊下ですれ違うだけで女子にそんな目で見られていたんだ。
ホントにオンナが大嫌いだったよ。
ただ、見てくれが良いだけのバカな男に媚びへつらって、俺のような不細工は理由もなく見下す。
そんなオンナどもが大嫌いだった。
だから、高校の頃は家に帰るとその日、俺を見下すような眼つきをしやがったオンナを頭の中で犯しながらオナニーをするのが日課だったんだ。
それが俺の唯一の楽しみだった。
クラスのオンナは大体みんなオカズにしてやったもんだ。
俺の事を虫けらのように扱うオンナが、妄想の中では俺のチンポを欲しがるんだ。
野川君挿れてお願い。ってな。たまらないだろ?」
麻美は何を言われているのか分からず只、呆然と私の話しを聞いている。
私は構わず、続けた。
「麻美。お前は佐竹さんに似ているんだ。
佐竹さんていうのはな、俺のクラスのマドンナだ。美人でスラッと背が高くてな。
性格はサバサバしていて、同性にも異性にも人気があった。
バスケット部のキャプテンをしていてな。
キレイな長い脚をさらして、レイアップシュートを打つ度に大きな胸がゆさゆさと揺れるんだ。
ある日、男子がみんなで佐竹さんの着替えを覗こうって話しで盛り上がってた事があったなぁ。
でも俺はその輪には入れてもらえなかった。俺には友達なんていなかったんだ。
俺も見たかったなぁ。佐竹さんの着替え。
佐竹さんは他のオンナどもと違って、俺を見下すような目で見る事は一度もなかった。
佐竹さんは一度も俺を見た事が無かったんだ。俺なんて存在してないかのようにな。
俺が何度、佐竹さんを盗み見ても、一度も目が合う事は無かった。
卒業するまで一度もだ。
ピラミッドの頂上からじゃ、末端は見えないのか?なぁ、麻美。
俺は、悔しくってな。佐竹さんを頭の中で100回以上犯したよ。
教室で犯したり、職員室で犯したり、保健室で犯したり、体育祭の時に見かけた、佐竹さんのお母さんが、これまた綺麗でな。
その夜は母娘共々犯してやったよ。
妄想ってのは自由で良い。なぁ?麻美。」
「な、何が言いたいの?」
麻美は絞り出すような声で言った。声は震えていた。
「麻美。お前は俺のアイドルだ。佐竹さんなんて目じゃない。
俺の人生に現れた最高のアイドルだ。俺は麻美の1ファンにすぎない。
見ているだけで良かったんだ。幸せだったんだ。お前が俺を裏切りさえしなければ。」
「あ、安藤さんとの事を言ってるの?」
「佐竹さんの着替えを覗いた奴らは今頃どこで何しているかなぁ。。
どうせ、バカなヤツらだ。ろくな人生送っちゃいないだろう。
中途半端なオンナ捕まえて、ガキ作って、ローン抱えて、幸せな振りして生きてやがるんだ。
俺は違う。俺は着替えを覗いて満足してる奴らとは違うんだ。
あいつらに見せてやりたいよ。アリーナ席で拝ませてやりたいよ。
極上なオンナが俺にひれ伏す瞬間をな。」
私はニヤリと笑うと麻美を頭からつま先まで舐め回すように眺めた。
麻美は私を睨みつける事も忘れて、ガタガタと震える自身の身体を、自らの両腕で抱き、支えていた。
「麻美。そこに制服がある。何をすれば良いかわかるな?俺を楽しませろよ。はっはっはっはっは!」
長い夜が始まろうとしていた。
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