山田は勝ち気な性格で、わたしより2つ年下ですが、先輩のわたしはおろか、上司に対しても、思ったことはズバズバ口にし、折り合いが悪い同僚も少なく有りませんでした。仕事に関しても、交渉能力が高く、大口の取引も数多く取り、成績は若手の中でも群を抜いていました。仕事の実績に加え、処世術も長けているので、会社の上層部からも一目置かれる、やり手でした。なので、同僚とは言っても、わたしのような平凡な人間とは、住む世界の違う、ほとんど話すらしたことのない関係でした。
山田はその後も、エリートコースを進みましたが、今までの山田の傲慢な態度や利己的すぎるやり方にたまりかねた多くの同僚たちの反感や不満から、山田は些細なミスにつけこまれ、周囲から孤立し、責任を取る形で退社しました。それなりの地位にあり、実績も残しているので、それなりの退職金が出されたみたいで、その後は、奥さんと2人でスナックを経営していると聞きました。
わたしは、山田に近かった同僚をたどり、山田が経営するスナックを聞き出すことができました。長年、わたしの奥底にある願望を叶えるための考えはまだまとまっていませんが、とにかく、一度近いうちに、山田の店に行って、本当に山田がまだ、過去のような人物のままなのかだけでも探ろう、と思いました。
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