この高級住宅街もそろそろ通勤通学の人々の姿が増えている時刻である。
早朝ジョギングと言うには少し遅めの2人か彼らの前を通り去る。
自転車で「ファイト、ファイト…」と掛け声を掛けているのは近藤夫人だった。
そして自転車と並んでジョギングしているのは町内でも評判の美人な奥様である深沢亜樹である。
「うふふ…亜樹さん、健全な精神は健全な肉体に宿るって言うじゃない。
亜樹さんの病気が少しでも良くなるように早朝ジョギングに付き合うわ。」
いつからこの2人は仲良くなったのだろうとの疑問はさて置いて、行き交う人々を驚かせたのは
深沢夫人のコスチュームである。
「亜樹さん…アダルトショップでアルバイト始めたんですってね。
深夜までお疲れ様…この素敵なビキニもお店で着ていたらしいじゃない…
あなたのエロい身体にピッタリだわ。」
一瞬何も着ていないのではと見惑う程、露出面積の広い赤いビキニに裸足でジョギングシューズを履いていた。
ビキニはかろうじて急所を隠す小さな三角の布が極細の紐で結ばれているだけのものである。
いくら機能性を追求したウェアだとしてもジョギングには適さない。
それと言うのも驚くほどの巨乳がステップの度に激しく揺れて走りにくそうだし、その動きに伴って乳房の三角布が
ずれて乳首がはみ出すのを直さなければならない。
股間の三角布に至っては捩れて陰裂に食い込んでいるので敏感な部分を必要以上に刺激しているのだろう。
(本当に深沢さんの奥さんかよ…)
(あの美人で慎み深い奥さんが一体どうしちゃったんだ…)
(いやいや…今まで気が付かなかったけどメチャメチャいい身体してる…)
バス停には駅に向かう人の列が出来ていた。
「ずいぶん走ったから、この辺で一休みしましょうか。」
近藤夫人が行列のすぐ目の前で自転車を止めたので、亜樹もそこに立ち尽くすしかない。
行列の視線が一斉に半裸のジョッガーに注がれる。
町内に住む男性なら町のマドンナを知らない者はいない。
出しゃばりな近藤夫人も有名人である。
「おはようございます、近藤さん…ジョギングですか?いいですねぇ…
おや?そちらはもしや深沢さんの奥さんでは?」
「あら、北島さんのご主人もこの時間のバスなのねぇ…」
バスの列から放し掛けて来た北島と呼ばれるサラリーマンは近藤夫人が懇意にしている中年男である。
亜樹は名前も知らなかったが、顔には見覚えがある。
いつも町で出会うととてもいやらしい目で亜樹の身体を舐め回すのだ。
「ぐへへ…近藤さん、紹介してくださいよ…僕、ずっと深沢さんの大ファンだったんですよ。」
北島はバス停の列から離れて亜樹と近藤夫人に近づいた。
「深沢さん、いつもお美しいお姿を拝見しておりました、北島と言います。」
いやらしい視線が破廉恥なビキニの上から下まで舐め回す。
亜樹は北島の無遠慮で卑猥な視線に全身に鳥肌が立つようだった。
「ちょっと亜樹さん、せっかく北島さんが挨拶してるんだから黙ってちゃ駄目でしょ。」
「あ…すみません…ふ、深沢です…よ、よろしくお願いします…」
「うふふ、亜樹さん…自己紹介なんだから名前だけじゃなくて、住所も年齢も教えてあげなきゃね。」
北島はそんなことは百も承知だろうが、近藤夫人はバスを待つ人々にもそれを聞かせようとしているのだ。
「うぅ…ふ、深沢亜樹…33歳です…住まいは○○町×丁目×番×号です…どうかよろしくお願いします。」
まるでどこそこに住んでいる露出狂の深沢亜樹ですと、大勢の人に宣言しているような気がして、
亜樹は膝が震えた。
「感激だなぁ…深沢さんに丁寧な挨拶されちゃって…奥さんのことツンツンしてちょっとタカビーかと思ってた
けどこうして話をすると物分かりの良い気軽で素敵な人だったんですね。」
北島はご機嫌で続ける。
「それにいつもは上品なフェミニンスタイルでしたけど、こんなアクティプな服もよくお似合いですよ。」
「亜樹さんねぇ…今までの服とか、みんな捨てちゃったのよ…ここだけの話だけどちょっと病気に罹っていて…
人前で恥ずかしいことをしたり見られたりしないと禁断症状が表れるらしいの…」
近藤夫人はウィンクしながら谷井と打ち合わせたシナリオ通りに北島に話す。
「へぇ…それは大変だ…よし、それなら僕も及ばずながら亜樹さんの力になりますよ。」
「良かったわね…亜樹さん、北島さんが協力してくれるってさ。
あなたからもちゃんとお礼申し上げなさい。分かりやすく大きな声でね。」
「今まで町内の皆さんには良家の奥様ぶって愛想がなくて申し訳ありませんでした。
亜樹はこれからはどなたとでも親密になって、気軽な女になりたいです…」
「うふふ…それで?」
「うぅ…亜樹は…露出狂でマゾの病気なんです…誰にも言えなくて…
これからは…北島様にも町内の方々にも協力していただいて、この最低な亜樹を遠慮なく辱め、
玩具にしてください。」
バス亭の列にも亜樹の言葉は聞こえている。
「じゃあさ…今、亜樹さんの丸出しのオッパイ触ってもいいの?」
「もちろんですわ…北島様…いつでもどこでもお気の向いた時にお触りしてください…」
その時、路線バスが到着し、北島もそこに居合わせた通勤通学客も会社や学校に遅れる訳にも行かず、
後ろ髪を引かれる思いでバスに乗り込んだ。
元々亜樹を知らなかった者も、憧れていた者も…今後この町の生活が楽しくなるなと予感を抱きながら。
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