よく晴れた日曜日。
瀟洒な住宅が並ぶ住宅地を花香るような4人の女性が歩いていた。
2人は近所でも仲良しと評判の母と娘。
彼女たちが義理の関係なのは知られていたが、未だ姉妹だと誤解している者も多い。
母娘の両側を一緒に歩く2人は、娘と同じ光教学院の制服を着ているところを見ると同級生だろうか。
4人はいずれも美人揃いだったが、どことなく奇異な印象を与えるのは梅雨も明け、初夏の爽やかな
この時期に冬物のコートを羽織っていることだ。
袖を通していないようで、腕が見えないのは不自然に見える。
娘の夏の制服は清涼感が漂っているのと対照的だったが、その娘のスカートの丈がいささか清涼感
漂い過ぎなのは以前から近所の注目を集めていた。
並んで歩く同級生の裾丈と比べれば、やはり短すぎるのは一目瞭然だった。
「あら、深沢さんの奥様、お出かけでしたの?」
4人が亜樹と恵理子の家に近づいた時、一人の中年女性と出くわした。
「あっ…こ、近藤さんの奥様…」
亜樹の顔に困惑の色が浮かぶ。
近藤夫人は亜樹の家の数軒先に住む主婦だった。
亜樹は彼女が苦手である。
忠義の後妻に入った経緯も好奇心満々に聞き出そうとしたのを皮切りに恵理子との仲や夫婦生活まで
根堀り葉堀り詮索して来るのだ。
亜樹はあまり興味は無いが、井戸端会議の中心人物らしい。
「どうしたの?コートなんか着込んじゃって。」
亜樹と恵理子の沈痛な表情に目ざとく気づき、好奇心が頭を擡げたようだった。
一緒に歩いていた瑠奈は悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「深沢さんのご近所の方ですか~? 私たち恵理子ちゃんの同級生なんですよ~
こんな高級そうな住宅地にお住まいなんて羨ましいわ~」
「あら、恵理子ちゃんのお友達? 光教学院なら優秀な生徒さんなんでしょ?」
「私たち、恵理子ちゃんとはとっても仲良しなんですよ~ それに亜樹オバサマはとっても美人で
スタイルもいいからその秘訣を教わってたんです~」
人懐こい笑顔で瑠奈が近藤夫人に取り入る。
「まぁ、それなら私も教わりたいくらいだわ。」
瑠奈は尻込みする亜樹の手を掴んで近藤夫人の前に引き寄せた。
「お安い御用ですよ~…ぼらっ」
瑠奈は亜樹のコートの前を一気に広げた。
「あっ…だめっ!」
悲鳴と共にコートの中が近藤夫人の目に晒される。
亜樹は全裸だった。
昨日の奈緒と同じように全身に亀甲縛りが施されている。
奈緒と違うのはスカートもブラウスも着ておらず、さらに後ろ手に手錠を掛けられていた。
亜樹は開いたコートを直すことも出来ず、ただ顔を背けて佇むだけである。
「縄で身体中を締め上げるとシェイプアップされるそうですよ~
それに露出とかすると内面から女が磨かれるって言ってました~」
「まっ!…ヘンタイ…!」
近藤夫人は浅ましいものでも見たように、そそくさとその場を去って行った。
「あらぁ~あと手錠してるのは余計なつまみ食いをしなくて済むからって教えて上げようと思ったのに
せっかちなオバサンだわ~」
深沢邸は昨日ケーキ作りをしたまま彩香と出掛けたままだった。
読みかけのミステリー小説や丁寧に畳んでチェストに仕舞うだけの洗濯物、昨日の午前に届き私信が
無いのを確認して処分しようと思っていたダイレクトメール…
平穏な生活を送って来た名残りだった。
なのに今は夫を裏切り、高校生の奴隷に成り果てた自分がいる。
「うぅ…ひどいわ…近藤さんにあんなところを見せるなんて…
明日にはご近所中広まってしまう…」
亜樹のささやかな抗議も耀子の気に障る。
「オバサン、何がひどいって? オバサンまだ奴隷の口の聞き方がなってないわねぇ。」
耀子を宥めるように瑠奈が笑う。
「亜樹さんにはいずれウリもしてもらうつもりだし~…ウリって分かる?売春のことよ~」
「熟女好きの客も多いのよね。」
「金持ち相手だから~ほら、この辺にも客がいるかも知れないでしょ。
ちょっとぐらい有名になってもらった方が商売やりやすいのよね~」
瑠奈の恐ろしい説明に亜樹と恵理子は身震いする。
「でもマジ立派な家よね~どうせなら奈緒先生のマンションじゃなくてこっちに住みたいくらいだけど、
恵理子のパパさんがいつ帰ってくるか分からないから危険だって坂本が言うのよね~」
部屋の中をキョロキョロ見回していた瑠奈が飾り棚に置かれた写真立てを見つけた。
「あら、こちらが話題のパパさんかしら…」
恵理子と亜樹と忠義が満面の笑顔の家族写真だった。
「ウケる~これが奥さんが坂本のチンチンに夢中なのも知らないマヌケ親父ね~」
「クスクス…この親父がせっせと稼いだお金を調教料として頂こうって言うんだから悪いわね。」
「心配しないでね~生活費くらいは残してあげるから…
奈緒先生なんて無一文になっちゃったのよ~」
「それじゃ、家捜しさせてもらうわね。」
※元投稿はこちら >>