彼女は、体勢を元に戻し運転席に深く座り直す。
皮張りのシートがギュっと音を鳴らす。
彼女は、前を見たまま、細く艶やかな脚を組む。太股が交差して白い内側が見える。
ぼくは、彼女の次に出てくる言葉と、艶かしい太股の内側に対して、乾ききった口の中に、突如溢れてきた生唾を飲み込む。
彼女は、煙草を深く吸うとフロントガラスに向けて紫色の煙を細く吹き出した…
「私の慰み物になりなさい…」
「えっ」
ぼくは、彼女の思いがけない言葉に、美しく冷たい横顔を凝視する。
彼女は、表情を変えずに前を見たままルージュを艶かしく動かす。
「私の…玩具…私の…思い通りにしか動けない…私を…喜ばせ…楽しませるだけに生きる…私の慰み物…」
彼女の真っ赤なルージュが滑らかに動く…ぼくは、言葉に詰まる。身体中が細かく震えているのがわかる。
混乱する頭の中では、彼女の言葉を必死で理解しようと(慰み物)という言葉が駆け巡る。
狼狽しているぼくへ、彼女は顔を向ける。
目を細めながら片方の美しいカーブを描いた眉がピクリと吊り上がる。
「どうする?マゾ少年…」
ぼくは、選択の余地は無かった…
ただ…
一言…
「…は…はい…わかりました…」
と言うのが精一杯だった…
彼女は、ぼくが心の奥底から振り絞るように言葉を出すのを聞くと、満面の笑顔をぼくに近づけた…
「口を開けなさい…」
ぼくの目の前に彼女の美しいラインの鼻筋が迫る。
ぼくの身体中の震動が一気に激しくなっていく。
彼女の甘い息が、ぼくの顔中に降り注がれると、ぼくは、ゆっくりと目を閉じて、黙ったまま甘い息を吸い込み、大きく口を開ける…
ペッ
ぼくの口の中へ何かが飛び込んできた…
ぼくは、それが彼女の唾液と理解するのには容易かった…彼女は、乾ききったぼくの口の中に甘く豊潤な唾液を飛び込ませる…
ペッ
今度は、彼女の甘い唾がぼくの熱くジンジン痛む頬にぶち当たる。
ペッ
再び、ぼくの口の中へ甘い唾が飛び込むと、ぼくの舌の上に居座る。プルプルとした感覚がぼくの乾いた口の中へ拡がっていく…
彼女は、細く長い指でぼくの耳を優しく摘むと
「飲みなさい…」
ぼくの耳の中へ甘い息が侵入する…
瞬間…
ぼくの背筋に激しい電流が脳天まで駆け巡る。身体中が震えて…震えて…まるで痙攣を起こしたようだ…
ゴクッ…
ぼくは、喉を鳴らして彼女の甘い唾を頂く
「目を開けなさい…」
再び、彼女の甘い息がぼくの鼻へ侵入する…
ぼくは、ゆっくりと目を開ける…
目の前に彼女の端正な顔が迫っている。大きな目は見開き、その瞳は爛々と光を放っている。
目の前にあるルージュが上下に、大きく開く。彼女の口の奥へぼくを吸い込むようだ…すると、そこから真っ赤な長い舌が、ぼくに向かって伸びてきた。
ベロッ
彼女は、ぼくの頬をゆっくりと下から上へ舐める。
「良い子ね…」
彼女は、その体勢のまま甘い吐息でぼくをあやす…
ぼくは、先程まで縮み上がった心が、今や至極な恍惚へと変化していっているのが解る…ぼくの…ペニスが…むくむくと…膨らんでいる…
「あぁ…ありがとうございます…」
ぼくは、自然と感謝の言葉が出た…
そしてぼくは、思わず…ジーンズの上から両手で勃起したペニスを押さえた…
その時
ぼくの耳に激痛が走る。
「あっあぁっ」
彼女は、優しく摘んでいた指にグッと力を入れて上に引っ張り上げた。
「まだよ…今から…お前が私の慰み物になれるか…テストをするの…もし…不合格なら…解っているわね…」
先程の甘い息が、今度は針のように変化して、ぼくの心の奥底へぐさりと突き刺さる。
「は…はい…」
ぼくは、情けなく…惨めな…涙声で答えた。先程まで膨らんでいたペニスはすっかり縮み上がり、包茎の皮が陰毛を巻き込んで引っ張る…
彼女は、吊り上げていたぼくの耳をパッと離すと、黙ったまま運転席に座り直す。
ぼくは、まるで段ボールに入った捨て犬のように助手席に縮み込む。
彼女は、そんなぼくをジロリと睨むと、徐に車のエンジンをかける。
黒塗りのベンツは、静かに大型書店の駐車場を後にする。
ぼくは、目線を下に落としたまま…小さく縮んだペニスをギュッと強く…強く握る。
………………
ぼくは…その後、市街地にある高層マンションの一室に連れていかれる。
そのマンションは、先日完成したばかりの高級マンション…地元の人間なら知らない人はいない。
ぼくは、そこのリビング…
街全体を眺める事が出来る硝子張りの広い場所で…
彼女の命令で、昼間から全裸になり…
太陽光を浴びながら…
体の隅々まで検査される…
彼女は、ぼくをレイプするような目でぼくの全身を舐め回すように視姦する
ぼくは、彼女に自分で乳首を揉むように言われ、乳首を勃起させる…乳輪や乳首の大きさを物差しで計測される…
また、自分でペニスをしごいて勃起させ、大きさを測られる…
四つん這いになり、両手で尻の肉を拡げるよう命じられ、アナルのしわの一本一本やアナルの中を検査される…
彼女は、爛々と輝く目で…真っ赤なルージュを歪め…栗毛色のショートカットの髪を振り乱し…ぼくを物差しで測ったり、時々、それでぼくの体をバシバシ叩く。
ぼくは、その度に彼女に罵られる…
「ほら!もっと乳首揉みなさい!どうせ何時もやってるんでしょ…マゾ少年!」
「アッハッハ(笑)何?そのチンポ!包茎なの(笑)しかも小さいわね(笑)」
「あらあら(笑)もう勃起したの?まだ何もしてないわよ(笑)さすがマゾね(笑)」
「アッハッハ(笑)勃起しても大して変わらないじゃない(笑)しかも皮被って(笑)包茎!包茎マゾ(笑)」
「あらあら(笑)尻の穴丸見え(笑)情けない格好ね(笑)」
「綺麗なアナルね~マゾのくせにまだ処女なの?」
ぼくは、彼女の罵詈雑言を聞くと…最初は、オドオドしていたが、自然と…ごく自然と…その言葉が心地よくなっていくのが解った。
ぼくは、惨めな、情けない、そして…甘美な、彼女の試験を受けた。
「よし…合格ね…」
彼女は、試験中の淫乱なとても下品な表情から…
元の…端正な気品溢れる顔に戻ると、優しく甘い吐息でぼくに(慰み物)の烙印を押した。
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