土曜の朝の教室はどことなく開放的である。
一週間の最後の日とあって生徒たちの気持ちはすでに放課後や明日の日曜日に
飛んでいるようだ。
まだ始業時間には間があり、生徒たちは席を離れ思い思いに雑談に興じている。
教室では坂本の席がある窓際に近い最後尾付近がグループの溜まりになっていた。
石田と小峰が取り巻き、そのすぐ横では佐伯瑠奈と西野耀子が深沢恵理子を
自分たちの座る目の前に立たせていた。
「あら~恵理子ったら昨夜は一晩中谷井さんに可愛がってもらったんでしょう?
よく遅刻しなかったわね~」
「さすが優等生ちゃんは学校さぼったりせず感心しちゃうわ。」
耀子は30センチ定規で恵理子の超ミニスカートから剥き出しになった太ももを
ペタペタ叩き、股間にまで差し入れる。
「うぅ…」
恵理子は身をかわしもせず、直立不動で耀子にされるままである。
クラスメイトたちは遠巻きにその様子を見守っていた。
彼らは皆、恵理子の超ミニスカートの下がノーパンだと知っている。
当然今、耀子が扱っている定規が女の部分をいたぶっているのだろう。
フフ…嫌がる素振りも無いってことは喜んでるってことだよな。
どういった経緯かは分からないが、恵理子が不良グループに加わったらしいことは
最初、クラス中の生徒を驚かせた。
成績優秀でクールビューティと称された恵理子が他人とつるむことは考えられなかったし、
そもそも坂本や瑠奈でさえ恵理子にだけは一目置いていた。
その恵理子がグループに入ったばかりか、石田や小峰よりも格下のパシリ扱いされている。
日々休み時間ともなるとグループの連中に馬鹿にされ、からかわれ、ともすれば性的な
嫌がらせをされても卑屈に屈従する恵理子の姿は最早日常になっていた。
クラスメイトはもう好奇心の段階はとうに過ぎ、かつては高嶺の花だった美人同級生が
今やクラスでも最底辺の身分に堕ちたことを甘受しているのだ。
*****
授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
担任の小谷奈緒先生が受け持つ数学Ⅱの授業である。
恵理子が玩具にされる場面が中断されて残念がったが、男子生徒にとっては奈緒の顔を
見るのも楽しみの一つである。
遅かったなぁ…いつもチャイムと同時に教室に入る奈緒先生が数分遅れて現れた。
あれ?…凛として快活な奈緒先生の動きがどことなく緩慢に思える。
奈緒らしい明るい挨拶も無く、ユーモアに富んだ雑談も今日は鳴りを潜め、教壇に立つと
いきなり出席を取り始めたのだ。
「先生、どうしたんですか?…いつもと違うみたい。」
何も知らない女生徒が心配そうに声を掛けた。
「な、何でもないわ…ちょっと考えごとしちゃったみたい…
じゅ、授業を始めますから、教科書の26ページを開いてください…」
奈緒の口調にいつもの歯切れの良さが無い。
どこか怯えたようにも見える。
奈緒は生徒たちに気づかれないように自分のスマートフォンを教卓に乗せた。
画面ではLINEが起動している。
坂本たちの指示だった。
「センセ~、暑いんじゃねえの? 汗かいてない?」
後ろの席から坂本がおもむろに声を掛けると、奈緒はビクンと肩を震わせた。
「そ、そんなことないわ…坂本…君…」
不安げな表情の奈緒をあざ笑うようにスマホにメッセージが届いている。
佐伯瑠奈【ショーの始まり~】
石田憲次【カーディガン脱げよ】
見ると瑠奈と石田が携帯を操作しながらVサインを送っている。
(そ、そんな…このカーディガンを脱いでしまったら…)
奈緒は一見いつもどおりの教師らしい服装だった。
紺の膝丈のタイトスカートに白い襟が眩しいブラウス、そしてサマーニット。
強いて言えばパンストを穿いていない生足なのと、カーディガンの一番上までボタンを
留めて、さらに胸元を隠すように前身頃を引っ張り合わせているのが不自然ではあったが。
小峰良太【さっさとしろよ。耀子がご立腹だよ】
佐伯瑠奈【マジぃ~? 耀子チャンこわい~】
奈緒の目に耀子が手の中で2つのダブルクリップを弄んでいるのが見えた。
そして先ほど恵理子を嬲った定規で前の席に座っている恵理子の二の腕を叩いた。
{パシッ」と音が響いたが、他の生徒はいつもの恵理子への嫌がらせくらいにしか思わない。
佐伯瑠奈【なるほど~】
石田憲次【先生が言うこと聞かなきゃ、恵理子にストリップさせるってこと?】
小峰良太【それでもいいよ。全員で回しちゃおうぜ】
奈緒は携帯に次々表れる悪魔の会話に身震いした。
恐る恐る顔を上げるとその悪魔たちが目を輝かせて奈緒の次の発言を待っている。
(深沢さん…可哀想に…深沢さんは私よりもっと恥ずかしいことをされていたんだわ…)
ただ俯き肩を震わせている恵理子を見て、奈緒は観念した。
「そ、そうねぇ…今日は特別暑いから…痩せ我慢はやめることにするわ…」
石田憲次【前ぶりはいいから早く脱げ】
奈緒は顔を上げ、努めて明るい表情を作り、カーディガンのボタンを上から外し始めた。
(う、うぅ…ぬ、脱ぐわ…)
奈緒がボタンを外し終えたカーディガンの袖から腕から抜いた瞬間、教室中が水を打った
ように静まり返った。
奈緒がカーディガンの下に着ていたのは白い半袖ブラウスだった。
デザインそのものはありふれた楚々たるものだが、その素材が一目見て余りに薄いもの
なのだと分かった。
完全に透けている。
透けているばかりか、そこには異様な紋様が浮かび上がっていた。
石田憲次【せっかくのスケスケ隠すなよ】
小峰良太【下向いてんじゃねぇよ】
佐伯瑠奈【堂々としてないと変に思われるわよ~】
小峰良太【すでに変だ】
佐伯瑠奈【ウケる~笑】
(何これ…!)
生徒たちの思考回路は錯綜している。
紋様に見えたのは縄に違いなかった。
(どうして縄なんだ…!)
生徒たちは徐々に亀甲縛りが先生の上半身全体を縛り上げているのを理解した。
きつく亀甲を象る縄が食い込み、豊かな乳房を搾り上げるように変形している。
ブラウス越しでも肌の柔らかさがはっきり分かる。
当然ブラジャーもしていないので、乳首がもたげて上を向いているのに何人かの
生徒は気がついた。
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