「ほぉ…恵理子の担任の先生でしたか…アポロへようこそ。」
奈緒は谷井と名乗る男にアポロがあるビルの1階にある部屋に案内された。
そこはずいぶん前から空室だった。
前のテナントが貸しスタジオに使っていたとかで、
防音材が張り巡らされている。
新しいテナントも入らず、どうせ放置しておくのならと、最近谷井が格安で
賃借していた。
「恵理子も恥ずかしい姿でいきなり先生に会うのは気まずいでしょう。
まずはゆっくりと話し合いましょうや。」
すぐにでも恵理子を淫獣の群れから救い出さなけれぱと思いながら、
いきなり自分が恵理子の前に現れたら彼女の心に深い傷を負わせる
ことになるかも知れない。
「あなたがこのお店の経営者ですか!
こんな店でうちの生徒を働かせるなんて、どういうつもりですか!」
奈緒はのっけから食ってかかった。
「まぁ冷静に話しましょうや。表まで聞こえてしまう…
まぁ、おかけになって…落ち着いて話しましょう。」
谷井は置いてある椅子に座り、奈緒にも勧めた。
「いえ、私は立ったままで結構です。」
長居をするつもりはない。
「いゃあ、それにしても先生はお若いし美しいですなぁ。
さぞかし生徒にも人気があるでしょう。
クク…高校生ともなると女の身体に年中ムラムラしている年頃ですな。
わしなんぞが高校の時分は…」
「ふざけないでください!今はそんな話をしてるんじゃありません!」
はぐらかすような谷井の態度に苛立ち、怒気を込めて谷井を睨みつけた。
「おぉ…怒った顔も魅力的ですな…
SMクラブの女王様なんて案外向いているかも知れませんよ。」
「最低…もうこれ以上話しても無駄です。
あんな下劣な店に深沢さんを置いておくことは出来ません!」
「下劣とはご挨拶ですな。
その下劣な店に恵理子は自ら進んでやって来たんですぜ。
働きたいというのも本人の強い希望だ。」
「ふざけないで!深沢さんに限ってそんなはずありません!
仮にそうだとしても、高校生にあんな破廉恥な真似をさせていいことには
なりません!
とにかく彼女は連れ帰ります!
あなたも深沢さんに会わないでください。」
「困りましたね…わしの愛用の精液便器が無くなるのは困る…
「せ、精液便器ですって…!?」
あまりの言いように恵理子は唖然とした。
生徒に下品な接客をさせている上、平然と下劣な道具呼ばわりする谷井に
激しい怒りがこみ上げる。
「最低!…人間のクズ!」
そう叫ぶより先に奈緒は谷井の頬を平手で叩いていた。
奈緒の行動に谷井は怯むどころか叩かれた頬を擦りながら
薄気味悪い笑みを浮かべている。
「ククク…わしは女に殴られると不思議と運が向くんだよ。
何なら反対の頬も叩いてみるかね。」
おもむろに谷井が立ち上がると奈緒は本能的な危険を感じた。
(襲われる…)
奈緒は一歩後ずさりして身を構え、そして目の端で出口の位置を探った。
「先生、大丈夫ですよ…わしは女に乱暴したりしない。」
谷井は奈緒に笑いかけると、キャビネットにぎっしり並んだDVDの一枚を
選んで、置いてあるDVDの機械にセットする。
「先生に面白いものを見せてあげよう。」
谷井がリモコンのスイッチを入れると青い画面が切り替わり、そこに恵理子の
姿が映し出された。
「…!」
奈緒は言葉も出なかった。
画面の恵理子は全裸だった。
「はぁん、はあぁ…恵理子を犯してぇ…
恵理子は谷井様のオチンポ様が好きです…
谷井様の精液便器にしていただきましたぁ…」
恵理子の整った顔立ちはそのままなのに、すでに目は焦点が定まっていない。
クールな恵理子が熱く卑猥なおねだりをしている。
「ねぇ…ハメて…ここ…谷井様好きなのぉ…
恵理子のオマンコ、綺麗でしょ…
谷井様のオチンポ様専用です…」
奈緒は身体中の血液が逆流するようだった。
テレビに駆け寄りテレビのスイッチを切り、谷井を睨み付ける。
「あ~あ、まだ始まったばかりなのに…」
「許せない!深沢さんのこんなビデオまで撮ってるなんて、絶対に許せない!」
奈緒の怒りは頂点だった。
「警察を呼ぶわ!あなたみたいな人間のクズは警察に捕まえてもらいます!」
しかし谷井は椅子にのけぞり悠然と煙草をふかす。
「警察?…結構だね。
ブタ箱入るとしてもせいぜい1~2年だろうねぇ。
その間、恵理子のDVDは全国に流れちゃうよ。」
「えっ?」と奈緒は谷井の顔を見る。
「先生ぇ~、恵理子のエロDVDはここにあるだけじゃないんだよ。
わしがいなくなったらすぐに暴力団に渡る手はずになっている。」
涼しい顔で谷井は笑った。
*****
アダルトショップ・アポロには、恵理子を坂本と共有するようになって、
その仲間の生徒が頻繁に出入りするようになっていた。
その日も坂本の取り巻きの小峰が恵理子について来て、谷井と共にレジから
卑猥な実演販売を眺めていた。
(チッ、野郎が来ても嬉しくないな…)
どうせ不良仲間の溜まり場になるのなら、瑠奈や耀子が来た方が華やぐ。
もちろん谷井がその2人に手を出すつもりは無い。
この2人、美人は美人だがその残忍さを恵理子に向けるのを何度も目の当たりに
して来たからである。
谷井の期待とは裏腹に、しばらくして来たのは石田憲次だった。
「お、やってるねぇ…今日も恵理子、頑張ってる。」
石田と小峰は坂本よりランクが下の不良だと谷井は思っている。
(こんな三下にまで奴隷にされている恵理子も気の毒だな…)
その時、小峰が声を上げた。
「谷井さん…まずいよ…あれ、担任だ…」
店側からは見えないレジの中から小峰が入口を指差した。
「マジかよ…小谷がこんなとこで何してんだ。」
「おい、石田…お前つけられたんじゃねえの?」
谷井が覗くと人目を憚り店内に入った女がキョロキョロしていたかと
思うと店の中央で客を楽しませている恵理子に視線を留め、呆然としている。
「どうする?」
「どうするったって…」
石田と小峰は動揺している。
(チッ、こいつら坂本がいないと何も出来ないのかよ…三下が。)
谷井もまた危機を感じたが、同時にその女性に目を奪われていた。
(いい女じゃないか…美人の担任と聞いていたが、これほどとは…)
今更恵理子を隠すことも出来ない。
いや、待てよ…あの様子では連れはいないようだな。
一人なら何とかなるぞ。
谷井はレジから出ると、入口脇に立ち竦んでいる小谷奈緒の背後に
回り込むと、その肩を叩いた。
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