チラシを一緒に配っていた同僚に渡し、隆太がフロントで対応してくれる。そしてそのまま部屋に案内された。
「携帯で登録してくれれば、ドリンクサービスするけど、とりあえずちあのだけで3人分つけとくから、アドレス教えといて」
そう言って渡された紙に、隆太が相手ということもあって、何の疑いもなく気安くアドレスを記入する千晶。
紙を受けとると、
「じゃ、ドリンク持ってくるから始めてて。久々にちあのアニソン聴けるかな」
笑いながら3人の飲み物の注文を聞き、部屋を出ていく隆太。
そのあとは千晶に質問が集中した。
進学先の高校は女子高だったが、県内でも指折りの進学校で、比較的真面目な子が多い。
その中でも千晶の友人たちは同じ美術部で、アニメやマンガを好むタイプが多かったため、異性と付き合う子もなく、隆太に可愛いと言われ高揚していた。
「誰?なんでちあって呼ばれてるの?」
「カッコいいじゃん、筋肉ついてるし、うちらのこと可愛いって」
隆太を独占したい、友だちにも秘密にしておきたかった千晶は内心いらっとしながらも、「お兄ちゃんの友だち」
とだけ答える。
「えー千晶ちゃん、お兄ちゃんいたの?お兄ちゃんもかっこいい??」
「さっきの人、大学生?どこ大?」
などとまた質問が膨らむ。
「本人に聞けば?それより歌入れてよ、あんま時間ないし」
うざい質問の連続をはぐらかすように、やや苛立った様子で言い、選曲を始めるが、友だち2人は止まらない。
「なんでぇ?千晶ちゃんばっか独占するなんてずるい」
「お兄ちゃん紹介してよ」
その時、ドアが開き、再び隆太が入ってくる。
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