そのあと、隆太からはメールがくることもなく、2週間ほど経って、梨沙と由貴には秘密で一人カラオケにいくことにした。
店の前は毎日のように通るが、隆太がチラシを配る場面には遭遇しなかった。
(もし今日逢ったら、ママも隆太くんの顔見たいって言ってたことにして、うちに遊びに来てって、誘っちゃおう)
せっかく再会したのに、その後なんの進展もないことに淋しさと焦りを感じ、決意する。
その日は授業も半日で終わり、梨沙と由貴には部活を休むことを告げ(と言っても実際は活動実態がなく、部室でお絵描きしたり、マンガを読んでいるだけの美術部であったが)、足早に駅前に。
時間帯が早いこともあって、店の前でチラシを配る姿も見えない。
店に入るとフロントには、隆太も優奈もおらず、女性店員が受付をしている。
「すみません、今日は隆太く。。あっ、小林さんいらっしゃいませんか?」
店員が奥に行き、「店長、今日は隆太さん何時出ですか?」
すると何やらやりとりする声が聞こえ、先程の店員とともに、優奈が現れた。
内心、
(あんたは関係ないでしょ)
と不満に感じる千晶であったが、それが顔に現れたのか
「わたしでごめんね、隆太なら今は学校忙しいみたいで遅番が多いの。
今日は千晶ちゃんひとり?よかったら遊んでかない、今、暇だし」
と意味ありげに笑いかける。
名前を知られていたことにさらにムッとして、
「隆太くんいないなら今日は帰ります。
また、友だちと来ます」
とだけ言い残し店を出る。
(もぉ、なんで、あの女!しかも呼び捨てだし、店長とか。。ムカつくムカつくムカつく)
腹いせに隆太にメールしようかと思ったが、さすがに子どもじみてると思われ、我慢した。
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