~第32話~
午後5時半。
下ごしらえを終えた後、何をしていいかわからずソファーに座り、テレビを付けて
見ていたが、いつの間にか睡魔に襲われしばらく眠っていた。
「すぅ・・すぅ・・・・・・・あれっ?ここは?・・・今何時?」
寝ぼけた頭で今の状況をひとつずつ確認する。
ここは斉藤の部屋で、もう少しで帰ってくる。
「いつの間にか寝ちゃってたんだ。早くご飯作らなきゃ」
下ごしらえをしていた材料を冷蔵庫から取り出し料理に取りかかる。
炊飯器からはご飯の炊けた甘い香りが立ち上っていた。
出来上がった料理から順番に皿に盛りつけテーブルに並べていく。
浩二の為・・・ではなく、今は斉藤の為に料理を作っていた。
カチャッ・・と、カギを開ける音が聞こえた。
慌てて玄関まで出迎える美香。
それよりも早く、ドアを開けた斉藤を美味しそうな匂いが出迎えた。
「おかえりなさい。ちょうどご飯ができたとこなの」
「へぇ、本当に作ってくれたんだ。しかもこの匂いは・・・」
靴を脱いでリビングへと向かうとテーブルには斉藤の好物のから揚げやエビチリが
並べられていた。
部屋を出る時は持っていなかった、大きめの紙袋を脇に置きテーブルに並んだ料理を嬉しそうに眺めていた。
「よく、俺の好物を覚えてたな?」
「そう?何食べたい?って聞いたら、いっつも、から揚げから揚げって言ってたもの」
あつあつのご飯と、温め直したスープをそれぞれ器に盛りつけ向い合って座る。
「さぁ、どうぞ」
恋人同士の頃に戻ったような光景。
よほど腹を空かしていたのか、ガツガツと食べざかりの子供のように次々に口へと
運んでいく。
「うん、美味いよ。さすが美香だな」
美味しそうに食べる斉藤を見て自然と笑顔がこぼれる。
「ふぅ。ごちそうさま。生き返ったみたいだ」
「ふふっ。大げさね。それにしてもすごい食欲ね」
事あるごとに浩二と比べてしまうが、浩二にはない見事な食べっぷりに、作る側としては悪い気はしなかった。
美香も食事を終えて、空になったお皿や器を洗っていると、斉藤が何をしていたか気になったのか「ところで・・俺が出かけている間何をしてたんだ?」
「何って・・床を掃除して、買い物に行って・・少しだけ寝てたわ」
特に何の意図かも考えずに素直に答えた。
いつの間に来たのか、気が付くとすぐ後ろに斉藤が立っていた。
「そうじゃなくて・・一人でしたのかって聞いてるんだよ」
美香を狂わせる責めの声。
食事の間だけの・・ほんの束の間の対等の関係。
耳元で囁かれ、スカートの中に手を入れられ、下着を着けていないお尻を撫でられると、
たちまち元の主従関係に戻っていく。
「もしかして・・俺に命令されてもないのに、下着なしで買い物に行ったのか?んっ?」
予想外の美香の行動に斉藤も嬉しそうに話しかける。
「ひ、ひとりでしてないわっ・・それに、下着だって。勝手に着けたら怒られると思って・・」
必死に言い訳するも「嘘をつけ・・本当は見られるかもしれない興奮を味わいたかったんだろ?」
と、斉藤にはお見通しだった。
「ハァ・・ハァ・・はい。とても興奮して、帰ってからひとりでしようか迷ったけど・・」
徐々に声が甘くなってくる美香。
「迷ったけど・・?何故やめたんだ?」
「ま、雅彦さまの・・肉棒でイキたかったから・・必死で我慢しました・・」
もう食器を洗うどころではなく、手は止まり斉藤にお尻を撫でられただけで、秘部からは愛液を溢れさせてしまっていた。
「そんなに・・欲しい・・か?ここに・・」
無意識に美香は足を開きそれを斉藤は見逃さず、指で濡れた秘部を撫でた。
ヌチュッ・・ネチャッ・・
「ハァ・・ハァ・・ほ、欲しい・・です・・雅彦さまぁぁ・・お願いです・・」
一日焦らされた身体は驚くほど敏感になっていた。
「いいだろう。俺がいない間も我慢をしたみたいだしな」
ようやく、長かった許しをもらった美香はこのまますぐに後ろから入れて貰えると思っていたが、「ここでしてもつまらねぇからな。美香、洗い物は後でいい。出かけるぜ」
と、信じられない言葉が返ってきた。
今から出かける?どこへ?何の為に?様々な疑問が浮かびながらも逆らう事も質問する事も出来ぬ美香は、ただ従うしかなかった。
つづく
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