~第26話~
(早くイキたい・・・このもやもやから早く解放されたい・・・)
絶頂を迎えた時のあの昂揚感と開放感。
ゆっくり頂上へと登っていくジェットコースターがやがて頂上に着き、猛スピードで急降下していく。
あの時の感覚に似ている気もする・・が、美香にはその何倍にも感じた。
焦らされ続けた美香の身体はずっと頂上を目指して登っていくだけ。
斉藤が急降下する事を許してくれなかった。
「雅彦さま・・お願い・・おかしくなっちゃいそうなの・・先にイカせて・・」
我慢の限界をとっくに超えた美香は堪らず斉藤に訴えた。
斉藤がここでイカせてくれるような甘い男なら美香はここまで惹かれはしなかったろう。
「ふふっ・・自分の立場をわきまえるんだな。やっぱりこのまま帰って、旦那にイカせて
もらうか?それが嫌ならかけ直してちゃんと返事を聞け。わかったな?」
そう言うと美香の携帯を勝手に操作し発信した。
プッ・プッ・プッ・プッ・・
トゥルルルルル・・・・
「そんなにイキたいんなら、旦那にも聞いてもらえよ。それならイカせてやるぜ・・」
再び容赦なく斉藤の愛撫が始まる。
「っあっ・・ん」
(浩二お願い・・このまま出ないで・・)
微かな願いも空しく、浩二はあっさりと電話に出た。
「もしもし・・?やっぱり電波が悪いのかな?」
美香自身が切ったとも知らず、電波が悪いという嘘を信用している。
「う、うんっ・・ぁっ・・そうみたい・・っ・・」
電話が繋がった事を確認すると、今度は指を掻きまわしわざと音を立てる。
クチュクチュ・・クチュクチュ・・
浩二には聞こえないだろうが、美香には十分聞こえ感度も増していた。
「・・・で?今夜遅くなるんだよな?」
「う、うんっ・・だから・・っんっ・・外で食事してくるか・・くっ・・はぁっ・・
適当に作って・・・っ・・食べて・・くれ・・る?」
必死に快感に溢れそうな声を押し殺し浩二に話す。
それを面白がって、さらに指の動きを激しくしていく。
クチュッ・・クチュッ・・クチュクチュ・・
掻きまわす度に大量の愛液が飛沫をあげて斉藤の手まで濡らしていく。
「うん。わかったよ。俺の事は気にしなくていいから。たまには女同士で
楽しんでおいでよ。じゃあ、仕事に戻るよ?」
何の疑いもなく愛する妻の言葉を信じる浩二。
自分の快楽の為に愛する夫を騙す美香。
「う、うんっ・・ごめんねっ・・んっ・・仕事中に・・っひぃっ」
ツーッ・・ツー・ツー・
通話が終わると美香は力が抜けたように携帯を床に落とした。
「くっくっくっ・・・まったく悪い女だな。あんなに真面目な旦那に申し訳ないと
思わないのか?」
自分でさせておいてまるで他人事のように、美香を責める斉藤。
「はぁ・・はぁ・・浩二・・ごめんなさい・・でも・・」
斉藤の質問には答えず、うわ言のように呟く美香。
斉藤に何と言われようと決めたのは自分の意思。
ただ自分が気持ちよくなりたい為に、浩二に嘘をつく事を決めた。
「雅彦さまは・・そんな悪い女は・・嫌いです・・か?」
そう言うと、美香は振り向きざま腕を斉藤の首に巻きつけ、唇を重ね舌を絡めすぐに離れた。
その表情はとても艶めかしく、浩二を裏切った後ろめたさや後悔などという
負の表情は微塵もなかった。
つづく
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