~第43話~
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・」
今まで何度か焦らされた後に与えられていた絶頂が、今日は焦らされる事なく迎える事ができた美香だったが、その息は荒くなり下半身で自分の身体を支えられない程の快感を受け、甘えるように斉藤に抱きついてしまった。
週末の中途半端な浩二との行為、そしていけないとわかりつつも夫婦生活を送っている自宅に入れてしまった背徳感。
それらが重なり美香にいつも以上の快感を与えていた。
斉藤もまた、いつも以上に興奮していた。
普段通り何度か焦らした後に絶頂を与えるつもりだったが、自分の領域ではなく相手の領域に踏み込んだという思いが指の動きを抑える事ができず、美香に容易く絶頂を与える事になってしまった。
その証拠は下半身にも如実に現れズボンを突き破りそうなほど肉棒は硬くなっていた。
「くくっ・・随分簡単にイッたんだな・・このままじゃあ、タバコの臭いより、やらしいメスの匂いに旦那が変に思うんじゃないか?」
やや興奮気味の斉藤の声が美香の耳元で響く。
美香自身もいつもより愛液が溢れ足首に留まらず床にまで垂れている事は自覚していた。
だからこそ余計に斉藤の責めが効果をもたらす。
「はぁ・・はぁ・・美香の・・やらしい匂い・・は、雅彦さまにしか・・わかりません・・
雅彦さまだから・・こんなに・・感じるんです・・」
「そうか・・だったら・・まだ満足してない・・な?」
「はい・・もっと・・もっと・・美香をメチャクチャに・・して下さい・・」
そう言うと、美香の方から唇を重ね、舌を絡めていった。
激しく濃厚なキスはお互いの唾液がひとつになっていき、リビングに卑猥な音を奏でる。
「んっ・・んんっ・・」
いつもより大胆な美香は命令される前に手を伸ばし、既に勃起している斉藤の肉棒をズボンの上から擦り始めた。
ここも斉藤の方から唇を離した。
「ふふっ・・今日はいつもと違うねぇ・・そんなにこれでメチャクチャにして欲しいか?」
自宅へ招くという、一線を越えてしまったからなのか、それとも斉藤のこれまで調教で快感に対して貪欲になってきたのか・・
斉藤は美香の予想よりも早い変化に驚きと歓びを覚えていた。
「は・・はい・・指だけじゃ・・いや・・です・・雅彦さまの・・これで・・」
どんな質問にも、素直に答える美香。
ならば・・と、「ここじゃ激しく動けない・・だろ?寝室は・・どこだ?」
寝室・・と聞いた美香はさすがに戸惑いを隠せなかった。
リビングならともかく、ベッドは浩二と美香だけの神聖な場所だった。
親しい友人にすらそこは見せた事も入れた事もない。
「あの・・ここじゃ・・」
「ダメだ。寝室は・・どこなんだ?」
なんとか断ろうとする美香だったが、間髪を入れずに答える斉藤。
指で1度イッただけの身体では満足など到底していなかった。
これ以上断れば帰ってしまうかもしれない。かといって愛する浩二との二人だけの
部屋。そこだけは侵されたくなかった。
「俺に、逆らうんだな・・?今日はもう帰るぜ・・」
すっと立ち上がりリビングを出ようとする斉藤。
美香は迷いに迷った。
このまま帰してしまえば先はもうないかもしれない。
だが・・許してしまえば・・本当に歯止めが利かなくなる。
浩二が寝ている所に斉藤が来てしまう。
今までも幾度となく天秤にかけた質問。
愛を取るか・・・自分の欲望を取るか・・・
そしてことごとく勝ってきた自分の欲望。
今回も愛は敗れてしまった。
「待って・・こっちです・・」
背中を向け歩きだした斉藤に美香は覚悟を決め、帰るのを防ぐようにしがみついた。
つづく。
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