この電話で、さっき郵便受けにDVDを投げ入れたのが、あの男たちだということがわかりました。
「も、もういい加減にしてっ!私があなたたちに何かしたのっ?」
「何かしたって…あんなヒドい姿を一晩中間近で見せられて、おまけに、部屋中に汚いクソ撒き散らしといて、よく言うな?息子のデカチン欲しさに、自分のクソまで喜んで喰ったくせに?俺たち、一生勃たなくなるか、焦ったよ。」
「と、とにかくもう、これ以上私たちに構わないでっ!」
「いいのか?そんなに強がって、偉そうな口を利いてて?この前も、始めのうちはまともな人間のフリしてたくせに、その後、クソまみれの息子の代わりに、俺たちに、『誰でもいいからセックスしてください』って、涙流して土下座しただろ?また後で同じ目にあっても知らねぇよ?」
「なっ、何馬鹿なこと!まさかあなたたち、このビデオで私を脅してるつもりの?もし誰かにこんなものを広めたら、私もあなたたちも全員、人生めちゃくちゃよ!」
「んな馬鹿な真似するわけねぇだろ?
俺たちも、お前みたいな発情期のデブな変態ババァのセックスの現場にいたこと人に知られたら、俺たちが恥かくよ?何勘違いしてんの?」
男たちの身勝手で、人を侮辱する口ぶりに、激しい怒りがこみ上げてきましたが、それ以上に、まだこのビデオが他の誰の手にも渡っていないこと、男たちも人手に渡す気がないことが確認でき、少しだけほっと安心しました。
「お願い。このビデオ、誰にも渡さないで。私も絶対、警察にはあなたたちのこと、届け出ないから。」
「当たり前だろ?全てなくしたお前がヤケを起こして、世の中に全部バレてもいいかも知れないけど、俺たち、お前みたいなの相手に全部棒にふるようなアブナい橋渡りたくねぇからな。」
「私に用はそれだけ?もう電話かけてこないで!」
「おっと、言い忘れてた。アンタを嵌めた張本人には、ビデオを渡すぜ?あとはソイツと話をつけてくれ。俺たち、ソイツに頼まれた通りにしただけだから。」
「嵌めたヤツって…誰なの?」
「携帯がエロサイトで、お前になりすまして、お前のセックスを見たい?って募集ヤツだよ。俺たち全員、怖くてソイツに弱味握られててよ、協力したら許してやるって言われて、指示された通りにしただけだから。アンタも可哀想にな、アイツからはもう一生逃げられないぜ?まぁ、これで俺たちはアイツから解放されるし、あとは俺たちの分まで、アイツの餌食になってくれよ。まぁ、せいぜい、人に恨まれるようなことはしないことだな?今さら遅いかも知れないけどな。じゃあな。」
「ま、待って!誰なのっ?」
慌てて男たちに、私や司を陥れた張本人を聞きだそうとしましたが、気になることを吐き捨てたまま、男たちからの電話は切れてしまいました。かけ直そうとしましたが、公衆電話かららしい様子で、
かけ直すことができません。もちろん、
携帯やメールにも、狡猾な男たちは、足跡を残すようなドジは踏まず、連絡する術がありません。男たちの最後の会話を思い返し、はっとしました。私を恨む人間…そう、あのビデオはきっと香の手に渡るんだわ…私はそう思いました。私は香の携帯に電話をしました。
「お客様のご都合により、通話ができません…」
やはり、繋がりません。私は、早く香を見つけ出さないと、と思いましたが、今の私の身体では、長い時間外に出てうろうろ歩き回ることはできません。かと言って、警察に捜索願を出して、騒ぎ立てることもできない私は、とりあえず、
ドラッグストアへ行き、少しでも外に出れるように、紙オムツを買いに行くことにしました。
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