この数日に起こったいろんなことを忘れて、私は谷本くんと言い合いながら話していました。気がつけば13時を少し過ぎていました。
「あら、やだ。もうこんな時間。大丈夫なの?相手先には何時に行くの?」
「3時です。まだあと1時間ぐらいは大丈夫ですよ。」
「それならよかった。じゃあ、お昼ご飯にしよっか。朝から作ってあるから、ちょっと待っててね。」
「お昼ご飯はいいですから、それより…富美代さん。」
「えっ、どうしたの?」
さっきまで談笑していた時とは、谷本くんの表情が違っていました。はにかみや笑顔はなく、真剣で何か思いつめたような感じでした。
「ど、どうしたのよ?いつもの谷本くんらしくないわよ?あっ、わかった!ついにあなたにも素敵な彼女ができたのね?」
「ち、違いますよ!今日僕がこうしてお邪魔したねは、…富美代さんが心配で…」
「だから、大丈夫よ。この通り、元気でしょ?」
「そうじゃなくて!…何かあったんですか?」
「えっ!?」
いつも柔和な彼らしくない、少し声を荒げて、私にふざけてないでと言っている様子で、私に問いかけてきました。私はドキっとして、心臓が止まりそうになりました。彼にあのことがバレてしまっているのか、急に不安になりました。
「な、何もないわよ。急に変なこと言わないでよ、びっくりするじゃない」
私は何とか言葉を返して、ごまかしました。
「…すいません。単なる僕の思い違いならいいんですが…。最近、ちょっと気になることが、いくつかあって…。」
私はドキドキしました。彼が何を知っているのかが気になって、私は恐る恐る聞き返しました。
「な、何かあったの?」
「…あの…実は…富美代さんもわかっているでしょうが、うちの会社も、かなり厳しくなってて…。銀行もなかなか融資してくれなくて。もうこのままだと、年末までもたないと。」
「…やっぱりそうなの…。」
「ただ、昨日、融資してもいい、と言う方が会社に来られて…。」
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