一人だと思い、いつの間にか火照り疼き出した身体を鎮めようと、大画面に映し出された、息子とのお尻での交わる姿を見ながら、裸になって自分で弄くって慰めることに夢中になり過ぎ、娘の存在に気づかないで、私は恥ずかしい姿を香に晒してしまいました。私は、これを仕組んだ張本人と思い込んだ香に、大きな声で怒鳴りつけ、どういうつもりなのか問いただしました。香は、目の前の発情した母親の恥ずかしい姿だけでなく、テレビに映し出された母親の私が、息子の司と、よりにもよって、お尻の穴でセックスしていることに、私を激しく罵倒しました。私がいくら問いただしても、ごまかしているのか、それとも全く何も知らずに、ただ目の前にいる、母親の恥ずかしい姿に動揺し、その母親の傲慢で高圧的で一方的な態度に、呆れ果て見限ったように、家を出てしまいました。私は、
この悲劇の原因が全て、以前から折り合いの悪かった香に押しつけることで、自分の意志で快楽を求めたわけではない、
全て卑劣なやり方で、私と司を陥れた、あの男たちと、逆恨みでそれを依頼した、身勝手な香に責任を押しつけることで、自分の本当の姿を隠そうとしていたのかも知れません。本当はこの時、香が仕組んだことではないことに、私は気づいていたのかも知れませんが、自分の情けなさを認めないで済ますために、私は悲劇の中心にい続けるように、理性が
そうさせたのかも知れません。私の頭は混乱しました。もう何が何だかわからなくなってきました。香の責任にしていても、香を責める気持ちより、私自身がわからなくなってきたことへの不安が大きく膨らんでいきました。私は裸のまま、その場で呆然としながら、この期に及んでなお、にじみ出て止まらない熱い汁で、恥部を濡らしていました。
気がつけば、窓の外が明るくなり始めてきました。リビングで裸のまま、いつの間にか私は、眠っていました。起きた私は、脱いだままの部屋着を着て、二階へ上がりました。もちろんどこにも、二人の姿はありません。私は、息子の司にも、娘の香にも、完全に見限られたと思い、淋しさと自分の情けなさに、涙が溢れてきました。もう今さら、私を母親であるとは思ってくれない、私が母親であることが、二人にとって恥ずかしい汚点と思っているに違いない…という気持ちになりました。そして、もし本当に香が仕組んだのではないとすれば、一体誰が私だけでなく司までも巻き込んで、こんなヒドい仕打ちをしたのか…私には全く他に心当たりが思い浮かびませんでした。これからの私たち家族の不安と、解決の糸口がない絶望、私たち家族を陥れたのは誰なのかという疑念が、頭の中でぐちゃぐちゃに混じりながら、私はシャワーで身体を洗い流しました。
本当なら、今日は朝から香の通う高校へ行き、何とか真相を知るために、香を探し出すはずでしたが、今となってはもう、話をするどころか、母子であることさえ認めてもらえない状況になり、私はただ、外出できない身体で、何も残されない、ただ静まりかえった一人きりの家で、意味のない、気が滅入るほどに長い1日を過ごさなければならないこと、また変な気持ちになって身体が暴走したら
自分で抑える自信がないことに怯えていました。いつもは時間がいくらあっても足りないと、家事と仕事に追われていたのが嘘のように、時間の針は、ゆっくりとしか進んでくれません。私の心は押し潰されそうでした。
プルルルルル…
電話の呼び出し音が響きました。私は慌てて受話器を取りました。誰からの電話か、というより、誰でもいいから声が聞きたい、電話をしている間は、この長く辛い静まりかえった時間から開放される…そんな気持ちでした。
「も、もしもしっ?山本ですっ!」
「お、おはようございます、富美代さん。子供さんのお弁当と朝ご飯で忙しかったですか?」
電話の声は、会社の同僚の谷本くんでした。谷本くんは地元の岐阜の高校を卒業して上京し、今年で30になる男の子で
、私とよく組むことが多いです。柔和で顔の整った子で、私みたいなおばさんが見ても、女の子にモテそうな感じですが、「彼女は?」と聞いても、はにかみながら、「できないんですよ、これが。このまま彼女もできずに、一生独身の淋しい人生を送るんですかね?」と返します。他の同僚がコンパに誘っても、
付き合いという感じで、他の若い男の子たちみたいにガツガツした感じはありません。仕事が忙しく、今日は帰れるかなと思って残業していると、同僚に断りを入れて、私の仕事を手伝ってくれることもよくありました。私が、「コンパに行って、いい彼女見つけなさい!」と言っても、「そんな人、どうせ見つかりませんから。」と私の言うことをさらっと優しく返し、一緒に残業してくれます。
「だ、大丈夫よ。どうしたの?こんな早くに?」
「いえ、体調はどうかな?って思って。やっぱり富美代さんがいないと、何か調子出なくて。」
「私みたいなおばさんがいなくても大丈夫じゃない。ごめんなさいね、みんなに迷惑かけて…」
「気にしないでください。仕事のほうは、みんなで何とかしてますから。富美代さん、早く元気になって、会社に戻ってきてくださいね。あ、そうそう、今日は外回りがあるんで、途中で何か甘いモノでも持って伺いますよ。」
「そんな…いいのよ。私なんかに気を遣わないで…」
「心配なんです!富美代さんが!」
「た、谷本くん…あ、ありがとう…」
「じゃあ、また後で。」
そう言うと電話が切れました。私は嬉しくて、目に涙が溢れてきました。
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