「嫌ぁぁぁぁぁ……やめてぇぇぇぇ……
」
後ろ手に縛られたまま、何人もの覆面男たちに取り抑えられた私は、パンツ一枚でイスに縛られた息子の目の前で、衣服を剥ぎ取られました。歳をとって完全に弛み、だらしなく垂れ下がった分厚い肉まみれの醜い身体が露わになりました。
手で隠せない私は、その場に座りこみ、
身体を前に屈めることで、何とか胸や下半身を隠そうとしました。
「おいおい、このぐらいで何恥ずかしがってんだ?あ?丸まると太った醜いカラダが、そんなに恥ずかしいんか?ハハハ…」
「大事な息子が目の前にいるんだから、母親としてあんまり情けない姿さらすなよ?息子が可哀想だよ?」
「おい!お前、何目ぇ逸らしたてんの?これから母ちゃんが、大人の責任の取り方を、太っただらしないカラダを張って見せてくれるんだから、しっかり見ときな!…よそ見したら、次から火傷するよ?」
司の身の危険を感じた私は、はっと顔を上げると、一人の男が煙草に火をつけた先を、司の顔や身体に近づけました。
「やめてぇぇぇ、お願いだから、息子には乱暴なことしないでぇぇぇぇ…」
私は身体を起こしながら鳴き叫び、男たちにお願いしました。
「それは、アンタ息子が、ちゃんとアンタの姿を見れば、乱暴はしないよ。それと、アンタが俺らの言うことに素直に応じて、誠意を見せればな。母親なんだから、ちゃんと息子を守り通さなきゃな、ハハハ…」
私は、完全に逃げ場のないこの状況に、
言いようのない絶望的に打ちひしがれました。この状況を早く終わらせるには、
この男たちが、これから私に要求すること全て受け入れ、応えるほかはないのです。絶望、恐怖、怒り、悔しさ、恥ずかしさ…ただただ涙が流れ落ち、息を詰まらせながら、むせび泣きました。
「いつまで泣いても、終わらないぜ?
諦めな。ほら、立てよ!」
再び髪を掴まれ、両脇を抱えられるようにして、立ち上がらされました。
「まずは、自己紹介しな!名前は?」
「………。」
「名前は?早くしな!わかってんの?」
バチーン!
「あ゛ぁぁぁぁ!」
鞭かベルトのようなもので、私は思いきり尻を叩かれ、思わず身体を反らせて、大きな悲鳴をあげました。叩かれたところが、ジンジンと熱く感じます。
「早くしないと、大事な息子に火傷させちまうよ?」
「わかったら、ほら…」
叩かれたお尻を、優しい手つきで撫でられながら、促されました。
「や…山本…富美代…」
「…で?」
「…え?」
バチーン! バチーン!
「痛ぁぁぁぁ……」
再びお尻を打たれて、絶叫しました。
「自己紹介って言ったろ?名前だけじゃないことぐらい、いい大人がわかるだろ?生年月日、住所、電話番号、身長、体重、スリーサイズ。きちんと言えなけりゃ、わかってるよな?痛い思いするのは、アンタだけじゃないんだぜ?」
「このババアのカバンあんだろ?」
男たちは私のバッグから、免許証と保険証、携帯、手帳を取り出すと、それらを配りました。嘘をついて、その場をやり過ごすことも、もうできません。それにいつまでももたついていたら、司に危険がいつ及ぶか、男たちの様子からも時間の問題だと思いました。
「…山本…富美代…
…昭和37年…5月20日生まれ…
…50歳
…東京都町田市×× ×-×-×
…携帯…080-××××-××××
…身長…162センチ…体重…92キロ…
…スリーサイズは…上から…
…115…100…110」
男たちの要求する自己紹介を話し終わった私は、自分の年齢や体重を公表した恥ずかしさ、住所や電話番号を知られた恐怖心も多少はありましたが、何より、男たちの機嫌を損ね、鞭でぶたれたり、息子に危害を加えられない安心感で、ほっとしました。この最悪な状況の中で、私は正常な判断力が薄れ始めていたのかもしれません。ただ、男たちの言いなりになり、この場を一刻も早く終わらせること…それしか私には頭にありませんでした。
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