~第4話~
脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に入った浩二。
しばらくするとシャワーの音が聞こえてくる。
美香は浩二が風呂に入ったのを確認すると隣の椅子に置いてあった封筒を持ってリビングにあるソファーに座った。
「中は・・・なんだろう。どうか本当の連絡先でありますように」
僅かな可能性に賭け、ドキドキしながら封を切った。
中には二つ折りにした紙が入っていた。
紙を広げると。パラパラ・・・と2枚の写真が挟んであったのが床に落ちた。
それを拾って写真を目にした美香は愕然とした。
そして浩二が中身を見なかった事が救いだった。
「こ・・これ・・」
心臓の音が聞こえるほどドキドキし、写真を持つ手は小さく震えていた。
「やっぱり斉藤が浩二の前に現れたんだ・・・」
写真は、付き合っていた時に斉藤が撮影したものだった。
1枚は美香が四つん這いで秘部の中にバイブを入れられ、斉藤の肉棒を口で咥えてる写真。もう1枚は、斉藤の上に跨り、肉棒を咥え込んでる割れ目がくっきりと写り、恍惚の表情を浮かべる美香の顔も写っていた。
2枚とも、誰が見ても無理矢理ではなく、美香自身も悦んでいるようにしか見えない写真だった。
「こんなの、まだ持ってたの?」
激しい動悸が収まらないまま写真を封筒に戻し、挟んであった手紙を読んだ。
「旦那にバラすってのはただの脅しじゃないってのがわかっただろう?
3日だけ待ってやるよ。それまでに今日渡した名刺の番号に電話してくるんだ
連絡がなかったら、今度は旦那に直接写真を渡すからな」
震える手で手紙も封筒に戻した。
「嘘よ・・・なんですぐに浩二の事がわかったの?スーパーで会った時は
結婚した事すら知らなかったはずなのに・・・」
テーブルにあった自分の携帯を取り、電話帳で唯を探した。
「松井・・松井・・唯。あった」
そのまま通話ボタンを押した。
トゥルルル・・・トゥルルル・・・
何度か呼び出し音が鳴り・・・
「はい、もしもし。美香?久しぶりね」
美香のよく知っている松井唯本人だった。
「そうね。どうしてるかなぁって。携帯変えたりしてないよね?」
「何バカな事言ってるの?変えたら連絡くらいするわよ。なんかあったの?」
「ううん。なんでもない。前みたいにたまにはランチ行こうよ」
「それいいね。また行こう。ごめん。今出先なんだ。また連絡するね」
「私こそ、急に連絡してごめんね。じゃあね」
やはり浩二の前に現れたのは偽の唯だった。
斉藤がどうやってあの短時間で浩二を探しだせたのか・・
斉藤の言いなりにはなりたくないが、連絡をして確認するしかなかった。
浩二が風呂から上がってくる前に封筒を見つからないように外出用のカバンに隠した。
「美香、お先。あぁ、いい湯だった」
セッケンの香りを漂わせパンツ1丁で風呂から上がってきた。
学生時代に野球で鍛えた体は未だ衰えず、引き締まった上半身に見慣れているとはいえ、
改めて見るとその逞しさにうっとりと見てしまう。
風呂上りのビールを飲もうと冷蔵庫からビールを取り出していると刺さるような美香の視線に気づいた浩二はたまらず、
「どうしたんだよ。じっと見て・・なんか俺の体についてるか?」
「えっ?ううん・・浩二の身体ってまだ筋肉あるんだぁ。って見惚れてたの」
「なんだよ。今頃気づいたのか?たまにはジムにも行ってるし。当たり前だろ?
そんなに見られたら・・照れるだろう?なんならベッドでたっぷり見るか?」
ゴクゴクとビールを飲みながら珍しく浩二が誘ってくる。
最後にしたのは3日前。その前は1週間前・・
最近は美香から誘う事の方が多かった。
たとえ肉体的には満足できなくても、浩二に抱かれるだけで、愛されているという事を感じ心は満たされ幸せだった。
「じゃあ、見ちゃおっかなぁ。ねぇ、さっとシャワー浴びてくるから待っててね」
浩二に誘われ断る理由のない美香は嬉しそうにそう答えると、風呂場へと向かった。
つづく
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