第4話
「何よ。人をバカにして…」
大きな足音を立てて、玄関を出ると再び照り付けるような暑さが美智子を襲った。
「暑いっ。もうなんでこんなに暑いのよっ」
結局一銭も得られずイライラを抱えたまま帰宅した。
これから3日間はパチンコにもいけない。それどころかまともな食事にもありつけない。
「寝てるだけで10万…寝てるだけで10万…」
祐一に言われた事が何度も頭を過る。
「あんな爺に抱かれるなんて嫌よ…」
美智子はしばらく考え、パチンコに行けない苦痛と原田に抱かれる苦痛を天秤にかけていた。
祐一に担架を切って出て行ったもののパチンコに行けない苦痛には勝てず連絡をしてしまった。
「もしもし…さっきはごめんなさい。本当に寝るだけでいいの?」
「あぁ、原田社長は君を抱けたら満足するはずだから。君が決心すれば連絡するけど」
「あの…出来るだけ早くお願い…」
「わかったよ。すぐに連絡するから」
自分の遊ぶ金欲しさに身体を売る決意をしたことに僅かながら後悔したが、これも仕事のうち。と、自分に言い聞かせ連絡を待つことにした。
「もしもし…原田社長。何とかうまくいきました」
原田は嬉しそうに祐一の返事を聞き、時間と場所を指定した。
翌日、指定されたホテルのロビーに10分早く美智子は着いていた。
これは仕事。これは仕事。と、何度も呟いていると原田が現れた。
「やぁ。お待たせしたかな…」
美智子を見るやらしい目付きに今すぐ股間を蹴りあげたい衝動を抑え、挨拶をした。
「お久し振りです」
「まぁ、堅苦しい挨拶はなしにして…早速部屋に行こうか」
馴れ馴れしく腰に手を回しエレベーターへと向かう原田に身震いをしたが、その度に仕事だと言い聞かせた。
最上階のスイートルームに入ると、ワインで乾杯をした。
「祐一くんの話では、セックスに興味がないとか…そんなキレイな身体をしているのにもったいない…」
落ち着いた声で話をしてくる原田に少し緊張が和らぐ。
「気持ちいいなんて思った事ありません。シャワーも浴びてきましたから、好きにして下さい」
一刻も早く終らせたい美智子は半ば投げやりになっていた。
「まぁまぁ…そう焦らないで。たっぷり美智子さんとの時間を楽しみたいんですよ」
時間は午後6時。
もう今日はパチンコには行けないと諦め原田に付き合う事にした。
一晩で10万なのだ。美智子なりに相手を逆上させないように気を配った。
「すいません。原田社長。今夜は楽しみましょう」
「ふふっ。たっぷり楽しませてあげますよ。セックスで得られる快感を僭越ながら教えてあげます」
「あら…私は手強いですよ」
そんなやり取りの中酒は進んでいく。
つづく。
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