第2話
「暑いなぁ。あぁっもう、イライラする」
パチンコで負けた事に加えこの暑さの中30分も歩き、さらにこれから会う人物に頭を下げなければいけない事が美智子のイライラは最高潮に達していた。
目的地である大きなビルにたどり着くと玄関に入り、まっすぐ受付へと向かった。
「社長はいる?」
顔馴染みの受付の女性はぶっきらぼうな美智子の声にも笑顔で
「はい。社長ならお部屋でお待ちです」と答えた。
冷房の効いたビルの中を歩きエレベーターに乗ると最上階にある社長室へと目指した。
コンッ。コンッ。
涼しい建物の中を歩いた美智子は社長室に到着する頃にはイライラも収まり静かにノックをした。
「どうぞ…」
中から声が聞こえると、それを合図にドアを開けて社長室に足を踏み入れた。
「また来たのかね。全く君のパチンコ好きには困ったものだ」
半ば呆れた声の主は社長でありながら、美智子の別れた元夫だった。
つづく。
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