第10話
名刺に印刷された携帯番号を見ながら電話をしようか迷っていた。
昨日の今日だ。金が無くなったというのは信じて貰えないだろう。
それに実際勝ってしまっている。
ただ気持ちよくなりたいから会いたいというのは美智子のプライドが許さなかった。
結局、悶々とした気分のまま、原田の携帯番号を登録しただけに留まった。
オナニーする気もなく、再びパチンコに行く気にもならない。
30分程テレビを見てはまた携帯を眺め、電話を掛けようか迷い、止める。
何度か迷っていると、祐一から電話が掛かってきた。
「やぁ、昨日はどうだった?ちゃんと金は貰えたか?」
「お陰さまで…」
この男からすんなりお金を貰えていれば今もパチンコを楽しんでいられたのに。と、変な逆恨みの感情が不機嫌にさせた。
「昨夜原田社長から連絡があってね。とても楽しい時間を過ごせた。と、喜んでいたよ。それから、金に困っていなくても連絡してくれと伝えてくれないか。とも言ってたよ。よほど気に入られたんだね。君は気持ちよかったのか?」
「まぁ、あなたよりわね…」
嫌味を言いながら祐一の一言でさっきまでの迷いは吹き飛び電話を切ると、すぐに登録したての原田へ電話を掛けた。
何度目かのコールでようやく出た原田は小声で話した。
「今、会議中でね。後で掛け直すよ」
と、電話を切られてしまった。
その後すぐに目を疑うショートメールが届いた。
「会議が終わったら連絡するよ。それまでノーブラで買い物でもしてなさい」
「何これ…そんなの行けるわけないじゃない。やっぱりバカにされてるわ」
電話なんかするんじゃなかったと後悔するが原田のメールに身体の疼き
は増していた。
気が付くと、Tシャツを脱ぎブラを外していた。
Tシャツを着直し、それだけだと心配だったので上から半袖のGジャンを羽織り指示通り買い物へと出た。
歩いてすぐに美智子はまたも後悔した。
Tシャツが乳首を擦り刺激してくるのだ。
さらにGジャンの重みがその刺激を強くしていた。
胸が揺れる度に甘い快感が乳首に伝わる。
「こんなの…買い物どころじゃないわ…」
刺激に堪えながら、近くのスーパーに行き、キョロキョロと回りに変な目で見られていないか気にしながら晩ご飯の食材をガゴに入れていく。
もし見られていたら…
ノーブラで買い物ってバレてたら…
そう思えば思うほど美智子の身体は火照っていく。
レジを済ませ足早に自宅へと向かった。
早く歩けばそれだけ胸の揺れは激しくなり比例するように乳首への刺激も増す。
「こんな事するなんて…私って本当にマゾなの?」
たった数時間会っていた男の言う事に従い興奮するなんて…
自分には一生縁がない世界だと思っていただけに衝撃は大きかった。
ちょうど家に着いた頃、原田から着信があった。
「ようやく会議が終わったよ。それで、用件は何かな?もう使い果たしたのかな?」
普段パチンコをしない原田でもこの短時間で昨日渡した分を使いきるのはわかっている。
予想以上に早い連絡に大方の察しはついていたが、プライドの高そうな美智子が何て答えるのか興味が沸き敢えて質問をした。
昨日の続きをしてください。など言える訳がない。
「えっと…実は欲しいブランドのバッグがあって…」
陳腐な言い訳しか思い付かない美智子の答えに何も追及せず、これから昨日のホテルへ来るように言われ、
ブラを着ける事なくノーブラのまま、すぐにタクシーを呼び、昨日以上の快感に期待しホテルへ向かった。
つづく。
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