遠慮なしに、ロアンたちは部屋に上がり込んできた。万年床の上に胡座を掻いた俺と向かい合って、ロアンは正座する。その両脇を固めるように、中東男と東南アジア男が立ちはだかっている。
「それじゃ……。これが、今回粛清するべき韓国女の資料よ」
「こっちの都合は、無視か?」
そう返した俺に、ロアンは無理矢理ファイルを持たせた。ファイルの写真にあるのは、青臭い小娘だ。
「名前は、チョ・ジウ。在日の三世よ」
「何をしたんだ? このチョン」
俺の問いに、ロアンは罪状が記されているファイルも俺に手渡した。
「そこに書いてあるとおり……。流暢な日本語で日本人の女の子を誘って、拉致監禁。来日する韓国男にレイプさせて、報酬を貰っていたのよ」
「許せねえな! チョンのすることは……。相変わらず」
「でしょ、でしょ? だから、韓国人は粛清するのが一番なの。さあ! 着替えて、行きましょ」
怒りを露にした俺の言葉に、ロアンは笑顔で促してきた。しかし……。
「じゃあ。そういうことで……」
俺は、横になって布団を被った。
「ちょっと! 何よ! その態度!」
「せっかくの休みの日に、チョンの牝ブタと顔を突き合わせろ……って言うのか? 御免だね。他を当たってくれ」
ロアンの叱咤にそう返した俺は、頭にも布団を被せた。
「もう! いいわ! やっちゃって!」
ロアンのその言葉に続いて、中東男と東南アジア男が俺から布団を剥ぎ取り、俺を強引に立たせた。
「はい。これ、着て」
ロアンが、クロゼットから引っ張り出したTシャツとジーンズを俺に押し付ける。力押しでは敵わないので、渋々身支度をする。
外で車を停めて待っていたのは、他でもない主任だった。
「お早う。清々しい朝ね」
「最悪の朝ですよ」
主任の笑顔での挨拶に、俺は泣きそうな顔で返した。しかし……というか、やはり。主任の笑顔は、変わらない。
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