「お連れしました」
ノックしたドアを開け、顔を覗かせた受付係のOL。
「入って頂いて」
主任の言葉に会釈をして、客人を会議室に通す。OLと入れ替わりに姿を見せたのは、色留袖を纏ったひとりのご婦人……と、背広を着たふたりの厳つい男。ふたりの男は、俺にもその筋と分かる。それ以前に……。長い黒髪をアップに纏めた、大人の色香が漂う綺麗なご婦人。そのご婦人の帯に挿し込まれている七首が、俺にもハッキリ確認出来た。
「姐さん。この男みたいですよ。姐さんのパートナーは……」
「何か、頼りねえな。大丈夫か?」
ふたりの男が一歩前に出て、俺を値踏みするような言動を見せた。そこへ……。
「ヤス! マサ! およし!」
姐さんなるご婦人が、ふたりの襟首を掴んで下がらせる。
「日乃本彩子……と申します。以後、お見知り置きを」
深々とお辞儀をした彩子さん。俺も自己紹介を……と思ったが。
「彼が、パートナーとなる男よ。詳細は、送った資料のとおりだから」
主任が、簡単に済ませてしまった。その主任が、彩子さんのことを俺に説明する。
「彼女は、警察と知事から表彰された女性なのよ」
「えっ!」
「彼女が居なかったら……。少なくとも百人の女の子が、韓国人強姦魔の被害者になっていたかも知れないのよ」
主任の言葉に続いて、ヤスとマサが俺に釘を刺す。
「分かっているだろうが……。くれぐれも、姐さんの足を引っ張るなよ」
「姐さんに恥を掻かせたら、タダじゃおかないから……な」
ふたりの言葉に、主任がニッコリと笑って話す。
「煮て食うなり、焼いて食うなり。好きにして、構いませんから」
何か、イヤな扱いだな。立ち尽くす俺を、ペコリとお辞儀をした彩子さんが促す。
「それでは、参りましょう」
「えっ! 何処へ……ですか?」
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