「粛清連合のワールドカップ?」
退社時間後……。タイムカードを押して帰ろうとしたところを、またも主任に会議室に連れ込まれた俺。主任から話を聞いて、キョトンとする。
「そんな大袈裟なものじゃないけれど、これは……という相応しい呼称がなくて、そう呼称しているだけなんだけれど……ね。要するに……。韓国人粛清連合に加盟している国と地域が集まって、親睦を深めると同時に腕を競い合いましょう。そういうイベントなの」
「それが、俺と何の関係があるんですか?」
真顔で訊いた俺に、主任は笑いながら返す。
「またぁ。とぼけちゃってぇ。だいたい、分かるでしょ? あなたが、日本代表に選ばれたのよ」
「ええっ!」
「しっかり、頑張りなさい」
「俺、辞退します。それじゃ……、そういうことで」
そう言って逃げようとした俺だが、当然に主任がそれを許さない。
「駄目よ。もう決まったことなんだから」
「何処のどいつですか? そんなこと、決めたのは」
そう訊いた俺は、主任の答えを聞いてビックリする。
「日本支部の管理コンピュータよ」
「えっ! それ、どういうことですか?」
「成績の一番悪い人が、自動的に選ばれたのよ。あなた、かなり消極的じゃない」
「俺は、あれでも努力しているんです!」
食い下がる俺だが、主任の笑みは崩れない。
「ちゃんと数字に残してから、その台詞を言いなさい」
「それで……。日本代表は、俺ひとりなんですか?」
「ううん。パートナーが、ちゃんといるわよ。男女のペアが、義務付けられているの」
「えっ! もしかして……。パートナーは、マユちゃんですか?」
そんな期待を剥き出しにして訊いた俺だが、主任は笑顔で否定する。
「残念ね。パートナーも、管理コンピュータが選んだのよ。女性で、成績が一番良い人を……ね」
「えっ?」
「エリートと行動を共にすれば、あなたのステータスも少しは上がるんじゃない?」
そんな! 昔のスポ根ドラマじゃないんだから。そこへ、足音が聞こえてきた。
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