影山がやりずらいのも無理は無いと思った。私は今は46歳の主婦だが、昔は教師として影山とこの学校で働いていた。 首都近郊の地方都市の進学校は私の母校でもあり、元職場でもあり、娘も在学中であるという縁が深い学校である。 古くからある名門校なので親子二代三代は当たり前で卒業後教壇にたつ者も多く珍しいケースではない。
ただ影山にとって私は元同僚であり、告白してふられた相手でもあるという、過去があった。私は影山の一世一代のアタックをあっさり断り、結婚し出産に伴い退職したのである。
その時の娘の真奈美が成長し影山のクラスとなったのである。
影山の教師としての力量は昔から疑問に思っていたが、何故か名門校に二回目の赴任となり私の娘の担任教師となるとは不思議な縁だと思う。
三者面談では、娘の成績について、褒められた。一年生の時は下位グループだったのに二年生になってグングンと上昇しついにトップテンに入ったのだ。
授業態度も真面目でクラスの行事や部活にも積極的であるとまた褒められた。
「そんな真奈美さんですが、一つだけ問題が…」と影山が切り出した。きっとこれが言い出しずらくて溜め息ついていたのだろう。
「その…真奈美さんの制服なんですが、校則に違反しています。どの子もオシャレしたくて制服をミニにしたがります。正直なところ学校の外で腰で折る分には私も目くじら立てません。でも娘さん真奈美さんのスカートは裁断して生地が短くしてあります」 「お母さんがそういう加工をされたと娘さんはおっしゃるのですが…」
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