玄関を開けると彼がいた。こんにちは、いつもの笑顔に胸がキュンとする。いつもと違う服装の私を見ても表情は変わらなかったのはちょっと残念に思った。 あの、車を見せてもらいます?そう言われてカーナビを口実に呼び出したのを思い出した。
2人きりで、車に乗るのもはじめてだ。 丁寧に、説明する彼の横顔をウットリ見つめてしまう。 彼になるべく長くいてもらいたくてカーナビについて色々質問を考えたのに全部忘れてしまった。それくらいのぼせていたのだ。
忙しいのにごめんなさいね。ようやく出てきたのはこんなつまらない言葉だった。僕の方こそすいません、次長から連絡受けて、すぐ行くことも出来たのですが、午前中にフル回転で働いて、午後の仕事全部終わらせてきました。
…ドキドキし過ぎてめまいがする。彼がサッサと帰ってしまうかもしれないという不安は無くなった。私のために午前中頑張ってくれたと思うと嬉しい。
あの、お茶でもどうかしら。言葉が途切れ途切れになる。
2人で家に入った。 今日は何も用意してなかった。いつもならばちゃんと準備するのに午前中色々あってできなかった。 慌ててお湯を沸かそうとしてキッチンに向かう。
キッチンの中で、いきなり後ろから抱きしめられた。キレイだよ。楓さん。はじめて名前で呼ばれた。耳元で囁かれただけで感じる。いい匂いだ。シャワー浴びたんだ。そう言われると顔が赤らむ。シャワーでしたことが恥ずかしい。健司君は清楚な私を好きな はずだ。
こっちを見て楓さん。そう言われて向き合う。ああ…きたディープキス。何も考えられない。
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