娘のミニスカートを見て、内心、オヤ?と思った。どう考えても野田君を意識している。
娘の学校での様子が気になって、近所の子から色々情報を聞き出している。ボーイが出来たらしい。 それなのに、制服は天然記念物のノーマル丈のまま。
そんな、色気づいたのかついてないのかわからない情報を聞いていた。
少なくとも野田君を男として意識してのミニスカートと思うと微笑ましいと思いつつ、何となく不安な気持ちになる。野田君が娘みたいなションベン臭い子どもを相手にするはずがない。そう思いつつ嫉妬にも似た苛立ちを覚えてしまった。
娘のミニスカートのアピールも虚しく、野田君は淡々と車の説明をし、わからないことがあったらいつでも呼んでください。
そう、爽やかな顔で挨拶はしたが、商談の時のような熱さは無くなっており、よそよそしい感じさえした。
所詮は、セールスマンなんてそんなものよね。そう思うとウキウキしていた自分やミニスカートの娘がバカみたいに思えてきて、私も冷たい態度で接してやった。
鈍感なのか、釣った魚に餌をやらないのか、野田君は一切気にする様子もなく、帰っていった。
待ちに待った納車の日だったのに、野田君は冷たいし、その後、私の態度について娘と喧嘩になるし散々な日になってしまった。
そんなことがあって落ち込んでいた。納車から一週間後の午後、突然野田君がやってきた。
車の調子は如何ですか?と聞かれた。調子も何も、娘と喧嘩して送り迎えもしておらず。一度も運転していない。
前にもまして、冷淡に話をしていると、突然抱きしめられた。ビックリして言葉も出ない私に、冷たい態度をとって申し訳ない。このままだと奥さんが好きになってしまいそうだった。そう言われてまた、固まってしまった。こんなにドキドキするのは生まれてはじめてだ。
何も言わない私の顔を両手で持ってキスをしてきた。主人とはしたことがない情熱的なキスだ。外国のドラマでしかみたことのない、ディープキス。画像で見て気持ち悪いと思っていたが。体験してみると、彼の舌が私の舌と絡んで頭がぼうっとしてくる。
体の力が抜けかけるのを突然引き離された。 「失礼しました。」真っ赤になってそういうと。逃げるように帰ってしまった。
突然の嵐のような出来事に気持ちの整理がつかずその場でぼんやりと立ち尽くしてしまった。
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