10章
人の姿を纏いし生き物達
(ズリュ…、ズズッ!ジュルッ…)
舞台の床に吐き出した自分のザーメンを啜って掃除するマキ。
300㏄もの量のザーメンは、半ば空気に触れて透明な液状に変化しつつも、ゼリー状に固形化したキンタマ汁の残りは未だに健在であり、裸でカエルの様に這いつくばりながら床を舌で掃除する改造性奴の惨めな姿を観ることで、優生劣滅思想下の抑圧社会に置かれている観衆達の鬱屈した負の感情を一時忘れさせ、自分より格下の他者の憐れな苦しみにより相対的な仮そめの優越感を得ていた。
『業務連絡。KAWAYAブチョー、KAWAYAブチョー Clean a stage』
やがて『厠』と呼ばれた褌一枚に、処刑用の革マスクを被せられ、去勢された股間を鎖と枷で繋がれた小太りの中年男性が、ちり取りと洗剤を持って舞台袖から現れると、ちり取りに残りの精液を集めてマキの口に流し込み、マキの頭を押さえつけて舌と躯で床を拭き掃除させた後、洗剤で研き上げ褌を脱ぎ雑巾代わりにして綺麗に拭き取っていた。
かつては海外に支店を持つ企業の管理職を務め、大陸での新事業のプロジェクトリーダーにあった男だったが、今大戦中に海外支店ごと接収され、占領統治下での『カルシウム還元、肥料、配合食品処分』を免れる為、今の劇場オーナー、以前は単純労働に従事させていた臨時職員に泣きついて闇ルートを使い、劇場主夫妻の個人資産登録扱いにしてもらい、『本国にある全ての資産と引き換えること』を条件に命乞いをして、同じ境遇の『物品・貨物類』『繁殖用牝』『工芸品』達と共に、どうにか妻や娘を引き連れ処分される事だけは逃れてきたのだった。
人と獣の狭間
冴えない風貌の夫を持った反動なのか、高価な衣服や装身具で着飾ってみても、内面の歪んだ性根が表情に滲み出てしまい、何かと口喧しく見えっ張りで底意地の悪い、まるで鶏に孔雀の羽根を飾り立てた容姿を想わせる妻と、母に似た安っぽい演技の媚態を弄んだ娘は、以前の平和で停滞していた時期は夫に隠れて遊び半分と実益を兼ねて条件付きの出会いや男遊びに興じて逢瀬を重ねていたが、今では日々生き残る為、僅かなパンの切れ端一枚や缶詰と引き換えに、路地裏や公園で、見知らぬ男に一刻の間、その身を売る暮らしを強いられていた。
処罰 内臓嬲り
『ウグーッ!グッ…、ウぅ~グ、ゼェゼェ…』
掃除が済んだ舞台上で、マキは胡座に座らされると、『厠』に頭を押さえつけられて、後ろ手と無理矢理自分のチンポを舐めさせられた変形海老責めの格好のまま縄で縛り上げられ、そのまま宙吊りに晒され隠すことの出来ない無防備なアナルへ浣腸を施された。
『お願いします、もう赦して下さい』
『お腹が壊れてしまいそうです』
口が自分の分身で塞がれている為に、脳内アクセスで劇場のスピーカーに接続して哀願するマキ。
得体の知れない液体を十数本以上も注入されたマキの腹は無様に膨れ上がり、顔には脂汗が浮かび、皮膚の色も鬱血して紫色へと染め上がっていた。
〔すげェー!何リットル詰まっているんだ?あの糞豚腹は〕
〔みっともねー格好〕
〔嘘泣きはいいから、腹が裂けるまでブチ込んでやれ!〕
ヒートアップした劇場内の集団虐待の流れの前には、マキはもはや人格を持った生物とは扱われず、子供に面白半分に潰される路傍の虫以下の存在だった。
(続く)
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