ゆかりは自分でも信じられなかった。
なぜ初対面の男と会っているのだろう。
なぜ初対面の男の車に乗ったんだろう。
なぜ初対面の男とホテルに入ってしまったんだろう。
いくら考えても答えなどみつかるわけがない。
頭ではなく、無意識の心の奥底がそう命じているのだから…。
部屋に入るとスッと後ろから抱きしめられた。
部屋の薄暗い雰囲気がゆかりの心を包み込んでいく。
まだりょうとは部屋に入って一言も交わしていない。
ゆかりは戸惑っていた。
なぜか体が全く動かない。
ダメだとわかっているのに、夫に悪いとわかっているのに、体に力が入らない。
ジッと抱きしめられていると、まるで夫に抱きしめられている感覚になってくる。
そのふと緊張が抜けた瞬間、うなじにりょうの息がかかる。
『はぁ!』
もう気持ちが限界だった。
いや、体が限界だった。
ゆかりは気を失うようにりょうにもたれかかっていった。
りょうはゆかりの体を支えるようにソファに座らせる。
静かにりょうはゆかりの唇に自らのを重ねていく。
『えっ!』
ゆかりの声を遮るかのように、りょうはゆかりの口を塞ぐ。
ゆかりは落ちるかのように瞼を閉じていく。
それを見たりょうは、片手をゆかりの頬に当て、優しくキスを繰り返す。
ゆかりの緊張をほぐすようにゆっくりと優しく…。
りょうはゆかりのぽってりとしたピンクの口紅に彩られた下唇を優しく噛みながら、片手をゆかりの耳にずらしていく。
『ヒャッ!あ、あん。』
耳はゆかりの性感帯だった。
耳の後ろ、耳朶に触れられると、力が抜け、声が出てしまう。
『あ、ダ、ダメ…。』
りょうはそれを逃すはずがない。
耳の溝を優しく撫でるように、そして時にふと指を離しながらゆかりの心を揺さぶっていく。
『はぁ、はぁ、はぁぁぁん…』
ゆかりは息を乱しながら、悩ましい声をあげていく…。
だめ、もう力が入らない…。
りょうにもたれかかるように体を寄せる。
その瞬間、ゆかりの首筋にりょうが唇を這わす。
『ヒィッ!あんっ!あ、あ、あぁぁぁ!』
もう声は止まらなかった…。
りょうはまだ汗を流していないゆかりの匂いを堪能する。
『だめ、あ、汗かいてる…。』
『ゆかりさん、そんなことないですよ。
とてもいい香りがする…。』りょう はそっと耳元で囁く。
りょうは女を抱く際、シャワーを浴びさせない。
女の羞恥心をあおり、彼への服従心を増幅させ、絶対的な存在へとさせるためだ。
ゆかりを抱き寄せながら、首筋に舌を這わせ、ゆかりの真っ白なシャツのボタンを1つ、2つと外し始めた。
『だ、だめ…。そ、そんなつもりじゃ…』
りょうはここが女を服従させるポイントだと経験から心得ている。
『ゆかりさん、自分の心に正直になりませんか?
あなたはどこかで寂しさを感じ、今日僕がそれを埋めてあげます。
素直な気持ちになればいい。
今、この時だけでも自分に嘘はついてはダメです。いいですか?』
『…。は、はい…。』
ゆかりはそっとりょうの胸に顔をうずめていった…。
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