「まだよ。」頭上でエレナの声が聞こえる。浩介ははっとしてそのまま床に顔を擦
り付ける。
「餌皿を持っておいで。それとテーブルが邪魔で、お前が惨めに食べている姿が見
えないから出ておいで。」
エレナの言葉に浩介は、すぐに餌皿を取りに向かった。おあずけをくらって、気持
ちばかりが焦っている。
木下の荷物の中にそれはあった。すぐにエレナのところに戻り、足元に餌皿を置い
て顔を床に擦り付ける。
エレナは90度向き直って座っていた。浩介はテーブルの下に入らないですむ格好
だ。
足元に置かれた餌皿の上でエレナはクネクネと足を動かした。張り付いたパンを落
とそうとしている。
しかしベッタリ張り付いたパンは落ちない。エレナは仕方なく餌皿の縁に足裏を擦
る様にしてパンを落とした。
「見てごらんなさいな。こんな物本当にほしいのかしら。食べたいって嘘でしょ
う、うふふふ。」
含み笑いをしながらエレナが言う。そして足では餌皿のパンを踏み躙っていた。
浩介は無残に千切れまくり、エレナの美しい足で調理されているパンを見ながら訴
える。
「ほしいです、食べたいです。どうかお恵み下さい。お願いします。」本心からの
願いだった。
浩介の目には涙が溜まっていた。思い通りにならない現実に直面し、気持ちの整理
が付かない。
今迄の自分がいかに思い通りに過ごせていたか、身に沁みて解った格好だった。
その様子を見ていたエレナは、さらに浩介を困らせる様に言った。「どうしてこん
な物が食べたいのかしら。」
浩介は返事に窮した。滅多な答えは言えない。エレナの機嫌を損ねると、大変な事
になるのは解っている。
考えられる時間は少ない。でも答え方が解らない。浩介は終に泣き出してしまっ
た。
「泣けば済むのかしら、返事ができない奴隷はいらないわよ。さっきから粗相ばっ
かりしているしね、うふふ。」
エレナが畳み掛ける様に続ける。「できない事ばっかりじゃない、お前は口だけな
のよ。」
浩介に返す言葉は無い。確かにエレナの言う通りだからだ。でも殆どの事が、小6
で経験する内容ではないのも事実だ。
しかしエレナには言い訳や理屈は通用しない。エレナの意思が法律なのだ。
浩介は自分の至らなさに涙が止まらなかった。特例とはいえ、奴隷として認めてく
れたのに役に立てていない。
ただ床に頭を擦り付け、詫びるしかなかった。何ともいえない空気が過ぎる。
エレナは餌皿の足はそのままで、反対のミュールを履いたままの足を浩の頭に載せ
る。
「大体お前は、主人のあたしと同じ物を食べるのかしら。そこも問題よね、うふ
ふ。」
少しの沈黙の後に、エレナが口を開く。浩介の顔が床にぐっと押される。
そうだ、踏み躙られたパンとはいえ、エレナ様が食べたのと同じものなのだ。
それをすぐに欲しがって、簡単に与えられる物では無い。欲しがってはいけなかっ
たのかもしれない。
頭を踏まれながら浩介が詫びる。「申し訳ありません。甘えすぎていました。許し
て下さい。」
エレナは少しづつ踏む力を強くしていく。浩介の顔はフローリングに徐々に押し付
けられていった。
「イギィ~、エレナ様ぁ。ごめんなさいぃ、ごめんなさいぃ。」切ない声で浩介が
許しを乞う。
それでもエレナは止めない。更に踏み躙る様にして力を加える。
浩介の鼻の骨がピキっと鳴った。額の骨もギシギシと音がしている。
顔を横に向ければ少しは楽になるだろうが、これはエレナからの叱咤である。甘ん
じて受けなければならない。
尤も勝手な行動を起こせば、更なる仕打ちが待っているのだ。
浩介はエレナの怒りが収まるのを待った。悪いのは自分だとの自覚もあったから
だ。
一方のエレナはというと、特に怒ってはいなかった。どのくらい我慢できるか、か
らかっている様子だ。
だから顔は笑っていた。楽しみながら自分を崇拝するこの下僕に、心構えを刻んで
いたのだ。
浩介の我慢が限界を迎えそうになった時に、やっとエレナからの荷重が消えた。
顔面がフローリングに張り付いている錯覚に陥る程に踏み付けられた浩介は、中々
顔を上げられない。
上げようと思っても体が言う事を聞かないのだ。だが早くお礼を言わないとまた叱
られる。
浩介は無理やりに顔を横に向けて、やっとの思いで今の叱咤に対するお礼を言っ
た。
「フフフ、お前の食べたい物は何なのかしら。」エレナが浩介を諭す様に言った。
「えっ・・・。粗相ばかりしているのに、ご褒美をくださるというのか・・・。」
心の中で呟く。
浩介は願望を伝えて良いのか迷っていた。エレナへの服従心を示せて、自分自身も
欲して止まない究極のご褒美である。
たださっきから怒られてばかりいる。今も何も出来ない口ばかりだと言われたの
だ。
「食べたくないのね。無理にとは言わないわ。じゃあ、済ましてくるわね。」そう
言ってエレナが腰を上げた。
「お、お恵み下さい。欲しかったけど、エレナ様に伝えられませんでした。何も出
来ないって怒られたので・・・。本当に欲しいです。」
浩介はエレナの足に縋る様に哀願した。そしてもう一度床に頭を擦り付ける。
行く手を阻まれた格好になったエレナは、構わずに浩介の頭を踏み付け、身体を乗
り越えながらトイレに向かう。
頭だけでなく身体も踏まれた浩介であったが、痛さも忘れ四つんばいでエレナを追
う。
その様子は犬の様だった。そして追い抜き、トイレの扉の前でまた床に頭を擦り付
けて懇願した。
浩介が邪魔でトイレに入る事のできないエレナは、少し苛立った様に浩介の頭を蹴
り付けながら言った。
「邪魔よ、役に立てないどころか、あたしの行動を妨害してるのかしら。」
浩介からはエレナの顔は見えない。しかし気分を害しているのは解った。
「違います、違いますぅ。どうか僕を使って下さい。お願いします、エレナ様
ぁ。」
縋る様に浩介が言う。
初めは人の排泄物など興味も無かった浩介だったが、エレナに認めてもらいたい一
心で口にする勇気が持てた。
それが一旦口にし、嫌悪感もまったく無くなった今、心の底から欲している。
エレナに認められたいのではなく、浩介自身が口にしたくて堪らないのであった。
一方のエレナはというと、自分の足元に頭を擦り付けながら懇願している浩介の様
子に、密かに微笑んでいた。
完全に仕上がった奴隷にできたという思いがあったからだ。
もちろん社会的な地位や専門的なスキル等全く無かったが、そんな事はこれからい
くらでも仕込む事ができる。
何よりも10歳そこそこで、ここまでの隷属意識が備わった、可能性を秘めた奴隷が
できたのであった。
しばらくのやりとりの後、餌皿を持ってこさせ、エレナはそれに排泄した。
もちろん後始末は浩介の役目だった。尻の谷間に顔を埋め、それこそ一心に舐め清
めた。
餌皿の中は踏み躙られたパンと聖水、黄金が混じり合い、凄まじい様相を呈してい
た。
「量が少なかったわね。夜にあげたからかしら。さあ浩介、堕ちるとこまで堕ちな
さいな、フフフ。」
エレナの言葉に浩介は餌皿にかぶりついた。顔中排泄物にまみれながら、まるで飢
えたブタの様に・・・。
その後頭部にエレナの足が載る。軽く踏み躙られていた。
「お似合いよ、浩介。フフフ、全部食べるのよ。」
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