テーブルにパンとコーヒーが並べられている。指示通りに準備ができていた。
エレナが椅子に腰掛けると、浩介はテーブルの下に入り、エレナの足元に畏まる。
もちろん顔全体を床に付けていた。
浩介の頭上でエレナの食事の音が聞こえる。コーヒーを啜る音さえも愛おしく感じ
ている。
顔を床に付けているせいで、周りは見えない。しかし頭の両端に投げ出されたエレ
ナの足が、艶かしく動いているのが気配で解る。
サンダルの踵を軸にして、爪先を上下に揺すっているのであろうか。頭上で足が組
まれている気配もしていた。
見たい衝動に駆られながらも浩介は姿勢を崩さずにいた。エレナが見ているかもし
れないと思うと、微動だにできずにいたのだ。
エレナをこれ以上怒らせる事があってはまずいと思っていた。奴隷を解除されると
考えると動けないのであった。
およそ15分くらいが過ぎたであろうか。エレナの足が浩介の後頭部に載せられる。
「ごちそうさま。うふふ、お前もお腹空いたでしょう。準備しておいたわよ。ほ
ら、見てごらんなさいな。」
エレナは言いながら、顔を上げさせた浩介の鼻先にサンダルを突き付ける。
浩介は訳が解らなかったが、突き付けられたエレナのサンダルを凝視した。
「フフフ、美味しそうでしょう。どうなの、欲しいのならお願いしてごらんなさい
な。」
エレナが愉快そうに笑っている。浩介はやっと意味が解り、それこそ生唾を飲み込
んだ。
エレナの履いていたサンダルに、何とパンの切れ端が挟まれていたのだ。
サンダルと足裏でサンドされたパンは、無残にもペチャンコになってはいたが、浩
介にとっては無上のご馳走に思えてならない。
いつエレナが挟んだのか浩助には解らなかったが、おそらく食事中、ずっと足裏の
エキスを吸い続けていたのであろう。
浩介は歓喜した。絶対に欲しい。そう本気で思えてならないでいた。
「有難うございます、エレナ様。ぜひお与え下さい。お願いします。どうか、どう
か本当にお恵み下さい。」
そう言って浩介はまた顔を床に擦り付ける。心からエレナに頼んでいる様子が伺え
る。
「あははは、こんなものが食べたいのかしら。うふふ、いいわ、そんなに頼むんだ
ったらあげてもいいわよ。」
エレナは浩介の顔を上げさせ、突き付けたサンダルを脱がす様に命じる。もちろん
手は使わせない。
浩介は命令通りに実行する。ジョギングシューズと比べれば楽である。すぐにエレ
ナの足からサンダルが外れる。
足元にサンダルを静かに置いて、浩介はエレナの足裏と対峙する。
無残な姿のパンが、崩れた格好でエレナの足裏に張り付いていた。
エレナからは何の命令も無い。浩介は静かにエレナの足裏に顔を寄せる。
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