「はい。」顔を上げて浩介が答える。迷いの無い顔をしている。
「今後この家で起こる事を、絶対に人に話さない事、もちろん両親にもよ。それが
約束できるなら、続きを話してあげるわ。」
エレナはストレートな話をぶつけてみた。返事次第では方向を修正するつもりでい
た。
「命を賭けて約束します。絶対に秘密にします。誓います。」エレナの出した条件
に、浩介が間髪入れずに答えた。
予想通りとはいえ、浩介が本気なのをエレナは悟った。少し遊んであげてもいいと
思った。
「アハハハ、別に命までは必要無いわ、でもその覚悟があるって事ね。解ったわ、
じゃあ次の条件よ。」エレナが浩介を見る。
たまらず浩介は視線を外す。「はい、お願いします。」でも小さい声で返事はして
いた様だ。
「勉強とかやる気はあるのかしら。あたしが教えて成績が下がったとか、性格が悪
くなったとか言われたくないわよ。」
確認の意味を込めてエレナが聞いた。
「頑張ります。今日からゲームもしません。学年一を目指します。先生に褒められ
る様に頑張ります。」
浩介が2回目の条件に答えた。
「ウフフフ、あたしに褒められたいんだ。どういう風に褒められたいのかしらね
ぇ、フフフ。」妖しくエレナが聞き返す。
浩介は耳まで赤くなっていた。答えるのが恥ずかしいし、エレナにずっと見られて
いるからだ。
「どんな感じで褒めれば嬉しいのかな、フフフ、言わないと褒めてあげられないわ
よ。アハハハハ、ハハハハ。」
エレナは我慢し切れずに大笑いした。小学生のマセガキが、一丁前に自分に褒めら
れたいと言っている。
この年でりっぱに隷属する性格が備わっている。多少の体罰は、甘んじて受けるだ
ろう。
「木下さんみたいになりたいです。」決定的なセリフを浩介が口にした。
なぜここで木下の名前が出るのか、エレナは不思議だった。
「木下って今日会った人の事。別にただの知り合いよ、便利に使わせて貰っている
けどね。」エレナがそう答えた。
「僕は先生に使われたいです。先生に命令されたいです。先生の役に立ちたいで
す。」浩介は泣きそうな顔で訴えていた。
浩介の隷属意識を最大限に引き出そうと、エレナが勿体ぶって話す。
「フフフ、あなたの言っている意味が解らないわよ。どういう気持ちで言っている
のかしら。」
エレナの言葉に、浩介はもう泣いていた。気持ちが伝わらずに、焦らされて辛かっ
たのだ。
「木下さんの様に使われて、その後に先生の足元で使ってもらったお礼を言いたい
です。そして褒めて貰いたいです。」
浩介の涙の訴えにエレナは驚いた。「なるほど見られていたんだわ。危なかった
わ。」
こうなるとエレナは、もう浩介に対して自分を隠す事を止めた。
「盗み見していたのね。それ見て興奮してたのかしら、子供の癖に。」少し怒気を
込めてエレナが聞く。
「いいえ違います、着替えを取りに帰ろうと思ったら、木下さんがそこに座ってい
て、慌てて戻りました。」浩介が答えた。
一瞬であっても見られたのだ。それに決定的なところを見られたのは間違いなさそ
うだった。
エレナは浩介に再度確認した。
「さっきの条件で、この家で起きた事は秘密にすると約束したけど、この事は誰か
に話すつもりなのかしら。」
「絶対に話しません。本当に約束します。」きっぱりと浩介が答えた。
この浩介の言葉に、エレナは納得した。自分の思った通りの展開だったからだ。
「解ったわ、教えてあげる。彼はあたしの奴隷候補、本人はなりたくてうずうずし
ているの。何でも言う事聞くわよ。」
どういう反応を示すのか、浩介を見ながらエレナが言った。
「奴隷・・・・ ですか。奴隷って先生の。」エレナに対し浩介が聞き返す。
「そうよ、自分の意思は持てないの。全てあたしの言うがままに動くのよ、命令に
は絶対服従が条件。」エレナが答えた。
さあ、浩介はどんな反応をするだろうか。
エレナは楽しみではあったが、まだ小学生の浩介には理解できてないかとも思って
いた。
「僕は、僕は先生に構って貰えるのなら、奴隷にだって何にだってなりたいで
す。」沈黙を破り、浩介が口を開く。
予想通りとはいえ、あからさまに言ってくる浩介に、エレナは少し不快感を示し
た。
「あははは、無理よ、お前じゃね。気持ちは嬉しいけど役に立たないわ。」エレナ
が呆れた様に答える。
「そんな、先生の言う通りにします。お願いです。」真剣に浩介は言っている。
浩介は奴隷というのを甘く考えている様だ。現実には、エレナの厳しい規制が待っ
ている。
浩介の考えが、いかに甘いのかを自覚させる様に、エレナが話す。
「木下の年収は5億あって、時間も自由になるわ。お前に時間とお金、どちらかで
も自由になるのかしら。」エレナは続けた。
「命令も色々よ、お前はあたしを好きみたいだけど、あたしが出したオシッコを飲
めるのかしら。オシッコだけじゃないのよ、大の方も
食べさせるわよ。それも歓喜の涙を流しながらじゃないと許さない。木下のレベル
はそれ以上行っているけど許されてないのよ。」
浩介はエレナに、さっきからお前お前と連発されて心地よかった。
だがこの言葉と、その厳しさには鳥肌が立つ思いがしていた。
確かに自分には何も無い。ただエレナを崇拝しているという事だけで、エレナを満
足させるお金も時間も無い。
エレナの事を思えば、どんな汚い物でも口にできる自信はある。ウンチでも何だっ
て大丈夫だと断言できる。
でもそれは、達成すれば褒めて貰えるという前提での話だ。
木下を見ていて羨ましく思っていたが、冷たくされているのを感謝している感じが
あったのが、今になって思い出せた。
そんな対応をしなければ、エレナは認めてくれないのだ。いや、しても認めてもら
えない場合が多いのだった。
エレナが全てを握り、相手の意思は無視される。そんな関係でも不平不満は許され
ない。
嬉々としてエレナに相手をして貰える事を、喜びに感じなくてはならないのであっ
た。
浩介にとってもエレナに構って貰えるのであれば、どんな立場でも良いと思ってい
る筈だった。
自分の気持ちをエレナという神に示し、その神に身体を委ねたい。絶対服従で付い
ていきたい。
しかし実際問題として、人の排泄物を口にするという行為が、妖しい誘いなのだ
が、達成できるかわからない。
何より歓喜の涙が解らない。そんな涙を生まれて一回も流した事が無かったせいも
ある。
色々な想いが、浩介の頭の中に錯綜していた。
「まあ、条件を2つともクリアーしたから、将来的には成れるかもしれないわよ、
フフフ。」少し哀れに思い、エレナが声を掛ける。
「有難うございます。」浩介はそう答えながら、将来エレナに相応しい男になろう
と、決意し始めていたのだった。
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